第11回世界水フォーラム第2回ステークホルダーコンサルテーション会合(2nd SCM)参加報告

第11回世界水フォーラム(WWF11)の第2回ステークホルダーコンサルテーション会合(2nd Stakeholder Consultation Meeting: 2SCM)が、2026年6月28~29日にサウジアラビア・ジッダで開催されました。

筆者は、アジア太平洋地域プロセスのリードコーディネーターに加え、テーマ別プロセス4「水ガバナンスと外交」のトピック4C「水の持続可能性に向けた政策コンセンサスのための新たな手法」のトピックコーディネーターとして参加し、両プロセスの議論の進行と取りまとめを行いました。

本会合は「Saudi Water Week」の一環として開催されました。開会式では、サウジアラビアのアブドルラフマン・アルファドリー環境・水・農業大臣が、「サウジ・ビジョン2030」と国家水戦略の下で進める水セクター改革の成果を紹介しました。改革はインフラ整備にとどまらず、ガバナンス、規制、資金調達、運営体制の強化や水関連産業・技術の育成を含む包括的なものであり、再生不可能な地下水利用の大幅削減、海水淡水化能力の拡大、安全な飲料水への100%アクセス、戦略的水備蓄容量の増加などの成果が報告されました。また、グローバル水機構(GWO)や国際水研究センターの設立、さらには2027年の第11回世界水フォーラム開催を通じて、国際的な水協力を主導していく姿勢が示されました。

続いて、世界水会議(WWC)のロイック・フォション会長は、海水淡水化、水再利用、地下水管理など非従来型水資源の活用と、水資源の保全・効率的利用の重要性を強調するとともに、ガバナンス、資金、革新的技術を強化し、「対話から実行へ(From Dialogue to Action)」移行する必要性を訴えました。

また、国連事務総長水担当特使のレトノ・マルスディ氏は、水レジリエンスを国家計画、気候政策、資金調達、開発政策へ統合する重要性を指摘するとともに、SDGs達成には国際協力が不可欠であることを強調しました。さらに、世界水フォーラムが政治的コミットメントを具体的な行動、パートナーシップ、資金、技術導入へと結び付ける重要なプラットフォームとなることへの期待を示しました。

写真:サウジ・ウォーター・ウィーク、及び、WWF11 2SCM開会式

開会式後は、テーマ別プロセス、地域プロセス、政治プロセスごとにブレークアウト会合が開催されました。各プロセスでは、WWF11の全体テーマである「Action for a Better Tomorrow(より良い未来のための行動)」を共通の軸とし、各プロセス間の連携強化を見据えながら、それぞれの役割に応じた議論が進められました。テーマ別プロセスでは、各セッションの構成や主要メッセージの整理・精査が行われました。地域プロセスでは、地域の優先課題、地域プロセス全体の議論の枠組み、および閣僚級会合に向けた提言について議論が進められました。一方、閣僚プロセス地方・地域自治体プロセスを含む5つの政治プロセスでは、それぞれの政治対話の実施と宣言文書の採択に向けたロードマップについて確認・検討が行われました。

中東情勢の影響により海外からの参加者は限られましたが、各コーディネーターは事前にコンセプトノートを作成するとともに、オンライン会合やメールによる調整を重ねながら、ワーキンググループにおいてセッション内容の具体化や、政治プロセス、とりわけ大臣級会合に向けたキーメッセージおよび成果案の検討を進めてきました。本会合では、これらの検討結果を基に参加者との意見交換を行い、今後の成果形成に向けた方向性を確認しました。

写真:アジア太平洋地域プロセス準備会合の様子

筆者が担当するテーマ別プロセス4Cでは、2日目のラウンドテーブルにエジプトのハニー・スウェイラム水資源・灌漑大臣を迎え、大臣級会合への提言に反映すべき優先事項や具体的な行動について活発な意見交換が行われました。

議論では、統合水資源管理(IWRM)の将来に向けては、新たな枠組みを構築するのではなく、その実施を強化することが重要であるとの認識が共有されました。参加者は、既存のIWRMの枠組みを基盤とし、実践的な投資、制度・組織の強化、適応的管理、さらにはこれまでの成功事例から得られた知見を活用することによって、IWRMを着実に実施していくことが優先課題であるとの点で一致しました。また、国レベルおよび流域レベルにおいては、それぞれの地域の実情に応じた制度設計の下で、政策を具体的な行動へと結び付けていくことの重要性が強調されました。

また、効果的なIWRMの実現には、包摂的かつ参加型のガバナンスが不可欠であり、地域コミュニティ、水利用者、女性、若者、先住民族をはじめとする多様なステークホルダーが、水政策の策定や計画、投資の意思決定に主体的に参画できる仕組みを構築する必要があるとの認識が示されました。

さらに、越境水協力については、国際水法が流域国間の協力の基盤であることを改めて確認するとともに、既存の制度的枠組みを強化していくことが重要であるとの認識が共有されました。あわせて、革新的なガバナンス手法やマルチステークホルダーによる資金調達メカニズムを活用し、地域レベルの取組を国レベル、流域レベル、さらには越境レベルの実施へと結び付けていく必要性が強調されました。総じて、IWRMを加速するためには、既存の知識や実績ある取組を補完・強化するイノベーションを活用しつつ、幅広いパートナーシップと持続的な資金動員に支えられた成果志向の実施へと移行していくことが重要であるとの共通認識が示されました。

今回の2nd SCMでの議論を踏まえ、今後は2027年3月にリヤドで開催される第11回世界水フォーラム本会議に向けて、各プロセスにおける成果文書やセッション内容のさらなる具体化が進められる予定です。

第11回世界水フォーラム(WWF11)主要ワーキングメンバー(閉会式にて)

(報告者:朝山由美子 チーフマネージャー)

お使いのブラウザーはこのサイトの表示に対応していません。
より安全な最新のブラウザーをご利用ください。