2026年5月25日から28日にかけて、タジキスタン・ドゥシャンベにおいて、「持続可能な開発のための水」国際行動の10年(2018–2028)に関する第4回ハイレベル国際会議(第4回ドゥシャンベ水会議)が開催されました。本会議には各国政府、国際機関、研究機関、市民社会など多様な関係者が参加し、水を世界的な優先課題として位置づけ、2026年および2028年の国連水会議に向けた行動の加速について議論が行われました。
国連水会議2026に向けたアジア太平洋地域準備会合
5月25日には、本会議に先立ち、2026年国連水会議(United Nations Water Conference 2026)に向けたアジア太平洋地域準備会合が開催されました。本会合は、タジキスタン共和国政府と国際連合アジア太平洋経済社会委員会(UNESCAP)の共催により、第4回ドゥシャンベ水会議の招待者限定サイドイベントとして実施されました。
会合には29か国および30の国際・地域機関から100名を超える代表者が参加し、2026年国連水会議の6つの相互対話テーマに沿って、アジア太平洋地域が直面する課題や優先事項について意見交換が行われました。
日本は、「地球のための水(Water for Planet)」対話セッションCの共同議長として、氷河から海までの連続した水循環・生態系を対象とする統合的な流域管理を通じた防災・減災と気候レジリエンス強化に関する議論を主導しました。参加者はまた、アジア太平洋地域における新たな気候関連の水課題への対応に向け、地域の優先課題や実践的な取組の方向性について意見を交わしました。
本準備会合の成果は、翌日から開催された第4回ドゥシャンベ水会議において共有され、2026年国連水会議に向けた地域の優先課題として位置付けられました。
第4回ドゥシャンベ水会議
5月26日から27日にかけて開催された第4回ドゥシャンベ水会議は、タジキスタン政府が国連経済社会局(UN DESA)および関係機関と協力して開催したもので、「水行動の10年(2018–2028)」の進捗確認と今後の方向性について議論する重要な国際会議です。
会議では、タジキスタンのエモマリ・ラフモン大統領による基調演説のほか、各国首脳・閣僚級によるステートメントが行われました。また、2026年国連水会議の6つの相互対話テーマに対応したテーマ別セッションが開催され、各国・国際機関から具体的な取組や事例が紹介されました。

相互対話C:地球のための水(Water for Planet)
日本とエジプトが共同議長を務めた本対話では、気候変動による洪水、干ばつ、氷河湖決壊洪水(GLOF)、地すべり、生物多様性の損失など、水関連リスクの増大が議論されました。
参加者からは、こうした課題に対応するためには、統合的な水ガバナンス、分野横断的な協力、科学と政策の連携、そして十分な資金動員が不可欠であるとの認識が共有されました。また、水の公平な利用と協力は、生態系保全のみならず、人間の安全保障や社会のレジリエンス、平和構築にも貢献するとの意見が示されました。
さらに、AIやデジタル技術の活用による水文予測や意思決定支援への期待が示される一方で、それらは高品質な観測データや科学的知見を補完するものであり、代替するものではないことが強調されました。

相互対話D:協力のための水(Water for Cooperation)
フィンランドとザンビアが共同議長を務めた本対話では、越境水協力の強化や流域レベルでの協力メカニズムについて議論が行われました。
参加者は、干ばつへの備え、水管理システムの近代化、気候変動適応策の主流化に加え、科学的根拠に基づく意思決定を支える研究機関、技術専門家、政策担当者の連携強化の必要性を共有しました。また、地下水協力が依然として世界的なガバナンス上の課題であることが指摘され、さらなる政治的・制度的取組の必要性が強調されました。
さらに、水収支分析、水文予測、統合情報システムなどのデジタル技術が、透明性の向上や協力の促進、レジリエンスの強化に大きく貢献することが確認されました。

ドゥシャンベ宣言の採択
会議の成果として「ドゥシャンベ宣言」が採択されました。宣言では、水に関する国際的な取組をさらに強化するため、以下の事項が重要な優先課題として示されました。
- 持続可能な開発と不平等の削減に向けた水関連行動の優先化
- 水と衛生分野における包摂的な意思決定への参加促進
- 各国のコミットメントの具体的な行動への転換
- 科学と政策の連携強化に向けた技術・知識・データ・科学協力の充実
- 世界、地域、準地域レベルでの国際協力の強化
また、宣言では、水関連課題への継続的な国際的関与の重要性が改めて確認されるとともに、2026年および2028年の国連水会議の成果や自主的コミットメントを、持続可能な開発に関する国連ハイレベル政治フォーラム(HLPF)へ報告することが勧告されました。
今回のアジア太平洋地域準備会合および第4回ドゥシャンベ水会議は、2026年国連水会議に向けた重要なマイルストーンとなりました。水・気候・生態系・開発を統合的に捉えた議論をさらに深化させるとともに、地域および国際レベルでの具体的な行動と協力の促進が今後一層求められています。
(報告者:チーフマネージャー 朝山由美子)