JWF News 7⽉号 「持続可能な社会」の因数分解

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【JWF News Vol. 201】2021年7月21⽇発⾏
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◇⽬次◇
・巻頭⾔ 「持続可能な社会」の因数分解
・⽇本⽔フォーラムからのお知らせ
 - 第3回JWFウェビナー開催のご案内
 - 京都世界水大賞2022 協賛募集のお知らせ
 - 打ち水大作戦2021 – 大暑7/22~処暑8/23
・⽇本⽔フォーラムからの報告
 - ダルビッシュ 有 水基金 第14号プロジェクト(パキスタン)を完了しました!
 - 第2回JWFウェビナー開催報告
 - JWFファンド2021速報
 - 第11回APWFウェビナー開催結果概要報告
 - シリーズ:水循環政策の動向-水循環基本法改正
・活動へのご⽀援・ご協⼒のお願い

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・巻頭言 「持続可能な社会」の因数分解
日本水フォーラム代表理事 竹村公太郎
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膨張した時代のインフラ整備
 私はインフラ整備で人生を過ごしました。時期は、昭和40年から60年代で、人口急増と、急激な都市化と、経済成長で、まさに膨張する時代でした。
 住宅が足りない。水資源が足りない。下水道が足りない。洪水が頻発する。インフラ不足は全て社会の膨張によるものでした。
 急激な社会膨張に対処するため、「効率」が合言葉になりました。効率とは、単位時間の生産性を上げること、単位面積当たりの生産性を上げることでした。
 水分野の代表の水資源開発と水道整備で分析してみます。
 目の前を流れる河川で、時間的に一刻も早く水不足を解消するには、なるべく多くの水を得る。そのためには、川の水をなるべく下流から取水する必要がありました。標高の低い下流に行けば行くほど、川の水の量は多くなります。ところが、水道網の浄水場は高台にあって、浄水場から地域の各家庭まで水を送らなければなりません。
 水資源を効率よく開発するために、標高が低い下流地点から取水して、標高の高い浄水場に水を送るためポンプが必要となったのです。
 膨張する社会で、効率のよい水資源開発は、ポンプアップの電力消費量を増大することを強いたのです。

真逆の近代水道
 社会膨張の圧力に追われて私たちが造ってきた水道は、エネルギー消費型となったのです。
 歴史的に人類が造ってきた水道は、エネルギーを消費しないシステムでした。人類は常に上流で取水しました。紀元前のローマ水道、江戸時代の玉川用水、パーマーが造った横浜水道など全部上流で取水しました。
 そして、水は自然流下で浄水場に届き、浄水場から各家庭に届いたのです。自然流下は重力によるので、電力エネルギーは使いません。
 近代で私たちが造った水道は、人類が歴史的に造ってきた水道システムと真逆でした。
 エネルギー消費型の水道は持続可能ではありません。未来社会は持続可能でなければならない。

持続可能な社会の因数分解
 世界中で「将来の持続可能な社会」が強調されています。しかし、「持続可能な社会」という言葉は漠然としています。
 「社会」は幅が広い概念です。農林水産業、製造、サービス分野があり、製造やサービス分野でも限りなく細分化されていきます。この幅広い複雑な社会を前にして「持続可能な社会」にしようと言われても手も足も出ません。
 広範囲で複雑な社会を構成している主要因子を明確にする必要があるようです。数学でいえば、複雑な数式も因数に分解すると、単純で分かりやすい因数で構成されていることが分かります。
 水資源開発の水道分野の持続可能性を因数分解していくと、出てきた因子が「自然流下」でした。もちろん、「自然流下」だけではありません。「施設のダウンサイズ」「緩速ろ過」「支川の自然浄化」などの因子があります。
 複雑な「持続可能」を因子分解すれば、一つ一つの因子に関しては複雑ではありません。私たちの身の丈の課題となります。
 未来の持続可能な社会を実現する手法が見えてきました。
 社会の各分野で、それを構成する主要因子に分解していく。構成する因子を1つ1つ挙げていけば、その因子は思いのほか分かりやすいのです。人々は分かりやすい具体的な課題が見えれば、それを乗り越えることは出来ます。

 神奈川県の相模川水系で、持続可能な流域社会への再構築が議論され始めています。
 今ある水道システムを因数分解し、一つ一つの因子を明らかにする。分解した個別の因子の解決を積み上げていく。これが未来に向けた着実な歩み方なのです。

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・⽇本⽔フォーラムからのお知らせ
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– 第3回JWFウェビナー開催のご案内

第3回JWFウェビナーでは、日本がサニテーション・サービス・チェーンの各段階で、オンサイト衛生をいかにして公共の問題として取り扱ってきたかについて説明します。多くの国、特に発展途上国では、オンサイト衛生が重要な衛生施設となっています。しかし、オンサイト衛生の劣悪な状況は、先進国でも途上国でも散見されますが、オンサイト衛生の根本的な問題は、それが公共の問題でとして捉えられていないことです。他の国でオンサイト衛生を改善するために、必ずしも日本と同じ制度枠組みを使う必要はありませんが、日本の方式は、オンサイト衛生を改善したいと考えている国にとって、参考になることでしょう。基本的な問題や課題は、日本も諸外国も同じだからです。どうぞ、お気軽にご参加ください。

◆日時     2021年7月28日(水)16:00~17:00(日本時間)
◆講師     日本サニテーションコンソーシアム 顧問 橋本 和司 氏
◆タイトル   オンサイト衛生における日本の経験
◆使用言語   英語(日本語通訳なし)

▼登録フォームはこちら(Zoomによる実施)▼
https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_uku4aosFRMCAjLSjph01kA

▼詳しくはこちら▼
https://www.waterforum.jp/news/18256/

(報告者:マネージャー 吉井麗子)

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– 京都世界水大賞2022 協賛募集のお知らせ

日本水フォーラムは今年度、世界水会議(World Water Council: WWC)及び京都市との共催で、「京都世界水大賞2022」を実施しています。
多数の水関係者が注目する世界水フォーラムの機会を活用した、3年に一度の実施です。
発展途上国の将来に資する水問題解決に向け、精⼒的な草の根活動に取り組む優秀な団体を顕彰し、広く世界に発信することで、草の根活動の重要性を訴えていくことを⽬的としています。
これに際し、ご協賛いただける企業・団体の募集を開始致しました。
サステナビリティやCSR、またESGのお取組みの一環として、是非、本賞へのご協賛をご検討ください。

▼詳しくはこちら▼
https://www.waterforum.jp/news/18275/

(報告者:マネージャー 桑原清子)

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– 打ち水大作戦2021 – 大暑7/22~処暑8/23

打ち水大作戦本部(事務局:日本水フォーラム)は、今年も、ニューノーマル時代の新しい日常で迎える夏を、少しでも爽やかに過ごしていただけるよう、打ち水の実践を全国および海外に呼びかけます。今年のミッションは、晴れたら「①毎日 打ち水」、「②8月14日(土)は、みんなで、一日中 打ち水」、「③お店で開店打ち水」です。
季語「打水」でオンライン句会も開催します。ぜひご参加ください。

▼詳しくはこちら(打ち水大作戦ウェブサイト)▼
https://uchimizu.jp/

(報告者:ディレクター 浅井重範)

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・⽇本⽔フォーラムからの報告
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– ダルビッシュ 有 水基金 第14号プロジェクト(パキスタン)を完了しました!
 2007(平成19)年3月、ダルビッシュ有投手(現MLB サンディエゴ・パドレス所属)は、日本水フォーラムと協力して、水不足や水の汚染などに苦しむ発展途上国の人々に安全な水を提供することを目的に、「ダルビッシュ 有 水基金」を設立しました。ダルビッシュ有投手は、公式試合で勝利投手となるごとに、同基金に10万円を寄付することを続けています。
 この基金を用いて、これまで11カ国で計13件のプロジェクトを実施してきました。この度、第14号プロジェクト「コロナ禍に見舞われたコミュニティの給水・衛生改善事業」を完了しました。

▼詳しくはこちら▼
https://www.waterforum.jp/news/18252/

(報告者:ディレクター 浅井重範、アシスタントマネージャー 田畑美世)

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– 第2回JWFウェビナー開催報告
6月22日に第2回JWFウェビナーを開催し、フィリピンなど東南アジアを中心に国内外から192名の方々にご参加いただきました。国土交通省水管理・国土保全局長の井上智夫様のご講演では、水関連の災害リスク軽減のための長期投資をテーマとして、人的損失はもとより、経済的損失をいかに減らすかということに焦点を当て、具体的な解決策や防災計画についてご説明がありました。また、水災害に対する気候変動への適応策の説明や第4回アジア・太平洋水サミットへの各国の参加の呼びかけもありました。

▼詳しくはこちら▼
https://www.waterforum.jp/news/18249/

(報告者:マネージャー 吉井麗子)

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– JWFファンド2021速報

JWFファンドは、2005(平成17)年に日本水フォーラムが設立し、独自に運営する助成基金です。発展途上国の水問題解決に草の根レベルで貢献するため、現地の草の根団体によるプロジェクトを支援しています。
本年は1カ月の募集期間に、水供給や水と衛生、水災害関連の活動について、37カ国から406件の応募が寄せられました。現在、採用案件決定に向けた審査を実施しております。
情報は随時ウェブページで公開いたしますので、今後とも現場の課題と活動にご関心をお寄せいただきますよう、どうぞよろしくお願いいたします。

▼JWFファンドについてはこちら▼
https://www.waterforum.jp/what-we-do/jwf/

(報告者:副マネージャー 郡司晃江)

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– 第11回APWFウェビナー開催結果概要報告

アジア・太平洋水フォーラム(APWF) は、第4回アジア・太平洋水サミット開催までの間、アジア太平洋地域49カ国の政府職員、大使館職員及び日本政府の職員などを対象に、水分野の知見の幅を広げ、深化させることを目的としてAPWFウェビナーを開催しています。
6月30日(水)に開催した第11回APWFウェビナーでは、国際水管理研究所(IWMI)ニューデリーのアディディティ・ムカルジー主任研究員、及び、Arghyamのアムリタ・カストゥリランガン上級マネージャーをスピーカーに迎え、「地下水・見えないものを可視化する」と題し。アジア太平洋地域における持続可能で包摂的、かつ強靭な地下水管理への道筋を議論しました。とりわけ、インドは世界最大の地下水利用国であることから、主にインドの国家政策とコミュニティレベルでの実践を取り上げました。

▼詳しくはこちら▼
https://www.waterforum.jp/news/18284/

(報告者:マネージャー 朝山由美子)

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– シリーズ:水循環政策の動向-水循環基本法改正

今国会において、「水循環基本法の一部を改正する法律」が全会一致で成立しました(議員立法、6月16日公布)。
地下水に関する規定を追加する内容です。
この改正は、水循環基本法フォローアップ委員会(FU委)の地下水分科会を中心に、過去5年間にわたり検討・審議され、水制度改革議員連盟に提言されたものが基となっています。
日本水フォーラムは、「FU委」創設以来の委員でもあります。
今後も「健全な水循環」に向けた取組みの促進に、一層の貢献と成果を目指し、取り組んでまいります。

▼詳しくはFU委フェイスブックをご覧ください▼
https://www.facebook.com/mizujunkanFU/

▼改正案可決の概況(地下水学会ウエブサイト)▼
http://www.jagh.jp/jp/info/information/20210604_01.html

(報告者:マネージャー 桑原清子)

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・活動へのご⽀援・ご協⼒のお願い
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「第4回アジア・太平洋⽔サミット(4th APWS)」
開催⽇程︓令和4(2022)年4⽉23⽇(⼟)〜24⽇(⽇)
4th APWSを円滑に開催できるよう、ご寄付・ご⽀援をどうぞよろしくお願い申し上げます。
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JWF News Vol. 201 令和3年7⽉21⽇発⾏
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