JWF主催のウェビナーを開催しました

 日本水フォーラムは、3月10日16時より以下のプログラムでウェビナーを主催いたしました。150名超の方にリアルタイムで参加いただき、また事前登録していただいた方にのみご案内した期間限定のオンデマンド配信でも、多くの方に聴講いただきました。
 ウェビナーでは、日本水フォーラムの竹村代表理事・事務局長から、「世界の水、日本の水ーなぜ、水を考えるのか?ー」をテーマとして、世界の水問題、日本の取り組み、ガバナンスの重要性などについて講演し、その後質疑応答を行いました。参加者の方から多くの質問をいただき、非常に盛況となりました。
 ご参加いただいた皆様、誠にありがとうございました。日本水フォーラムでは、今後もこのようなウェビナーを開催していきたいと考えておりますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
 なお、ウェビナー資料の配布は行っておりません。ご了承ください。

当日のプログラム

16:00 開会挨拶
16:00-16:05 世界の水問題、最新情報
日本水フォーラム ディレクター 伊藤和彦
16:05-16:45 世界の水、日本の水―なぜ、水を考えるのか?―
日本水フォーラム 代表理事・事務局長 竹村公太郎
16:45-17:00質疑応答
17:00閉会挨拶

当日の様子

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プログラムのご案内
2021kwebinar02

竹村代表理事の講演-1
かつての日本の山の様子

2021kwebinar03

竹村代表理事の講演-2
日本の取り組みの紹介

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質疑応答

お寄せいただいた質問について

 質疑応答の時間とその後のアンケートにてお寄せいただいた質問の中から、代表的なものについて以下のとおり回答いたします。皆様と共に引き続き水問題を考えていくきっかけとなれば幸いです。
 たくさんの質問をお寄せいただき、ありがとうございました。すべてにお答えできませんことをご了承ください。

【日本水フォーラムの活動に関すること】
Q.1 水問題(例:日本のバーチャルウォーターの割合の大きさ)や日本の知見(例:治水技術)の発信について、日本水フォーラムはどのように取り組んでいくのですか。

A.1 世界に支えられる日本は海外の水問題解決に貢献することが重要と考えています。そのための政策提言や日本の叡智の発信、人材育成・啓発、途上国での草の根活動の支援に取り組んでいます。
 より多くの人々に水問題を認識してもらうために、日本水フォーラムでは国内外向けのウェビナー・セミナーの実施、HPやSNSを使用した情報の発信等を行っています。また、アジア・太平洋水サミット(次回は2022年4月)、世界水フォーラム(次回は2022年3月)への参加と準備を行い、水問題解決に向けた日本の経験や技術を発信する予定です。新型コロナ感染症が感染拡大する以前には、在京大使館の皆様に向け、楽しみながら水事情や治水技術について理解を深めていただくために首都圏域での水防演習視察ツアーを実施していました。
 日本水フォーラムは、すべての人々が水の恩恵と価値を最大限に享受できる世界の実現に向けて、今後も活動を続けていきます。ご支援をよろしくお願いいたします。

【海外での水問題に関すること】
Q.2  国際河川に関する紛争としては、どのようなものがありますか。

A.2 世界では、下流の国が、上流の国の水利用状況に影響を受けている、という事例が多く報告されています。上流の国が発電や自国での水利用のためにダムや取水路を建設し、貯留・利用する水量を増やしすぎると、下流の国で利用できる水の量は減少してしまいます。上流の国が汚染された水を河川に放出すれば、下流の水質も悪化します。また、上流の国での予期せぬダム放流により、下流の国で洪水被害が生じた、という事例も報告されています。国際河川で紛争がない河川はない、といってもよい程です。紛争解決には、その河川の恩恵にあずかるすべての国々が状況を共有し、協調していくことが重要だと考えています。

Q.3 干ばつが常に問題である地域で活動しています。井戸が掘れず、雨水貯留しか水の入手手段がないというのが現状です。他にはどのような手段が考えられますか。

A.3 水が入手しにくい地域での水利用目的で、空気中に含まれる水分(水蒸気)を集水する、使用した水を処理し再利用する、という技術が開発・装置化されていますが、コストや維持管理の面からも広く普及しているとは言い難い状況です。
 雨水利用には複雑な装置は必要なく、降り始めの水を捨てる、などいくつかのポイントを押さえれば、非常に利用しやすく大切な資源です。現時点では最も現実的な対処策ではないでしょうか。

【国内での水問題に関すること】
Q.4 日本国内の山林を外国資本が購入している、という報道を目にしますが、山林は貴重な水資源であり治水においても重要だと考えられます。日本政府はどのように対応しているのでしょうか。

A.4 政府が策定した水循環基本計画においても、山林は貯留・涵養機能の維持及び向上の点で非常に重要であると位置づけられています。
 山林の管理に対する政府の政策としては、林野庁が2011年に制度を改正しており、森林の土地を新たに取得した場合は市町村町への届け出が必要になりました。農林水産省では、2010年から毎年外国資本による森林買収に関する調査結果を取りまとめ公表しています。また、北海道も外国資本による山林取得について状況を公開しています。
 森林所有については、所有者が不明であったり、隣地との境界線も未確定な森林も生じているという問題があるため、基礎情報の整備が急がれています。

Q.5 水の課題と、日本の森林問題は絡み合っていると思います。森林問題を解決することにより水の問題も解決していくといった良いアイデアはありますか。

A.5 近年、気候変動等により渇水・洪水が頻発化していますが、これらの被害を防ぐためには、水資源の貯留や地盤の浸食・崩壊を防止するという森林による機能も期待されています。
 一方、特に個人所有者にとって森林の維持管理は容易ではなく、利益は得られないまま維持管理コストのみ嵩む、というケースも珍しくありません。森林整備のための財源として森林環境税が2024年度より徴収されることで、森林整備が拡充され、森林の多面的な機能を支えられるような総合的な対策が実施されていく予定です。
 持続可能な森林管理のために、林業の振興等による森林資源の有効活用も重要な課題となっています。

Q.6 流域治水実現に向け、従来の河川整備やガバナンスの関係についてどのように考えていますか。

A.6 2020年、国土交通省が「流域治水プロジェクト」を打ち出しました。①氾濫をできるだけ防ぐ・減らすための対策、②被害対象を減少させるための対策、③被害の軽減、早期復旧・復興のための対策に取り組んでいます。従来の河川整備はハード面から非常に重要ですが、土地利用や地域と密接に関連するソフト面については、関係者との連携が欠かせません。従来から、土地利用の面的観点からの、特定都市河川浸水被害対策法に基づく流域水害対策計画による河川整備事業などがありましたが、それをさらに充実、拡大してくものと期待されています。いずれにしろ、治水は河川管理者を中心として流域全体で対応していく時代になっていくものと考えられます。

【将来に向けて】
Q.7 国際社会において、水・衛生分野はあまり重要視されておらず、気候変動関連資金も水分野に使われている割合は小さいようです。今後、水がより「重要課題」として認識されるために必要なことは何でしょうか。

A.7 日本水フォーラムでは、関係諸機関とも連携を深め、アジア・太平洋水サミットなどを通じて各国首脳への呼びかけ、また、世界水フォーラムなどを通じて、水分野の専門家だけではなく、幅広い分野の関係者との認識の共有や連携を促進し、一般の人々とも共に水問題を考えていけるように取り組んでいるところです。SDGs(持続可能な開発目標)に関しても、水は、SDG 6(安全なトイレと水を世界中に)だけではなく、SDG 3(すべての人に健康や福祉を)やSDG 5(ジェンダー平等を実現しよう)など、多くの分野の目標達成に重要な役割を果たしていることへの認識を高めていきたいと考えています。ご支援をよろしくお願いいたします。

Q.8 5Gの進展による水管理の利点や展望があったら教えてください。

A.8 5Gの技術により、水管理にも様々な利点がもたらされることが期待されます。イギリスでは、5Gを取り入れた上下水道サービスが試験的に始まっています。サービス対象エリアにおいて4.7万キロを超える水道管の配置を把握し、技術者がリスクをリアルタイムで管理できるARマッピング、利用者が自宅の給水状況や流れを監視し、異常パターンを特定し問題を事前に把握できるアプリなどが導入されています。ドローンを使用した水源や設備の無人監視等、今後、日本でもこのようなデジタル技術の活用が普及していくでしょう。

Q.9 河川や上下水道において、水質分析を行い、そのデータを活用して得られる知見はどのようなものがありますか。

A.9 2020年春から、世界中で新型コロナウイルス感染症の感染拡大による影響がみられています。日本でも(公社)水環境学会により下水中の新型コロナウイルス検出マニュアル(暫定版)が公表されました。下水中の新型コロナウイルス濃度を把握することで、流行状況を正確に把握し、適切なタイミングで有効な感染拡大防止策を実行できるようになるのではと期待されています。
 ここ数年、報道などで目にすることが多くなったマイクロプラスチック汚染は、世界中に広がっています。そのモニタリングは非常に重要ですが、分析手法は煩雑で容易ではありません。プラスチックを生物が飲み込んで体内に蓄積され、プラスチックに付着していた有害な物質が溶け出して生物に影響を与えることも心配されています。

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このウェビナーは、公益財団法人 河川財団の河川基金の助成を受けて開催されました。

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