JWF News 11月号 第4回アジア・太平洋水サミットに向けたAPWFウェビナー開催中

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【JWF News Vol. 193】 2020年11月18日発行

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◇目 次◇

・巻頭言 【特別寄稿】水再利用とISO規格策定について

・日本水フォーラムからのお知らせ
– 第4回APWFウェビナーを開催します
– 4℃ アクアプログラム2020年度の活動を開始しました!
– ダルビッシュ 有 水基金 第14号プロジェクトを開始しました!
– 第9回世界水フォーラム 2022年3月に開催延期
– 京都世界水大賞2022 公募期間を延長しました

・日本水フォーラムからの報告
– 第3回APWFウェビナー開催結果概要
– JWFファンド2019 プロジェクト完了報告(ハイチ)

・活動へのご支援・ご協力のお願い

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・巻頭言 【特別寄稿】水再利用 とISO規格策定について
日本水フォーラム評議員 大熊 那夫紀(一般財団法人造水促進センター 専務理事)

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●水の素晴らしさを実感
 まだ新型コロナウィルスの感染拡大が今のようになるとは想定できなかった今年の2月、10年ぶりに0泊3日の出張でUAE/ドバイ空港に降り立ちました。メインの仕事の前にどうしても行きたいところがあり、ラスアルハイマ首長国に向けて車を走らせました。そこは、2009年にNEDOのプロジェクトで建設した水再生プラントで、現在も工場排水や下水を処理し、再生水として工業用水用途として販売する事業を実施しています。砂漠の中の道路を走っていると、突然、森が見えてきました。そこは、水再生プラントがある場所で、10年の歳月で、木々が10mを超えるほどに成長し、森のように見せていたのでした(写真1)。今更ながら、水があることの素晴らしさを実感できた瞬間でした。

写真1 ラスアルハイマ首長国の水再生事業所の外観(撮影:大熊)

●水再利用のマーケットと国際標準化戦略
 日本にいると水の再利用を身近で感じられる機会は少ないですが、東京や福岡などの大都市では、公共施設や大型ビルのトイレ用水などで再生水の活用をみることができます。一方、中東のように在来水源が不足している地域では、水の再利用は、重要な水資源として位置づけられています。再生水は、農業用水や工業用水として利用されており、国連の水報告書でも水再利用の重要性が謳われています。
 再生水の市場では、用途に適した再生水水質が要求されますが、ユーザーからは再生水の水質が良質でも低質でも同じような価値観で取り扱われます。また、我が国の水処理企業は、高品質の再生水の製造には長けていますし、膜技術など高品質再生水を製造する技術や製品の信頼性などにも優位性を有しています。しかし、海外での入札では、価格優先主義が強く、我が国企業の技術の優位性が正当に評価されず、苦戦を強いられているのが現状です。これを打破する一つの方策として、国際標準化を活用する必要があります。

●「水の再利用」の規格開発と日本の積極的関与
 我が国の水処理技術の海外展開を有利にするため、我が国が主導してISO専門委員会 のTC282「水の再利用」をイスラエル、中国、日本の3カ国共同で2013年6月に立ち上げました。水関連分野では、日本は初めての幹事国となりました。下水処理水の再利用の規格開発が主となることから、国内専門家の意見をまとめる審議団体は、国土交通省下水道部流域管理官となりました。48カ国が参画し、2014年1月に東京で第一回の国際会議を開催した後、年2回の国際会議で、水の再利用に関わる規格開発が行われています。しかし、今年は新型コロナウィルスの影響で6月以降のISOの会議は、全てWeb会議となっています。
 TC282は、4つの分科会 で活動しており、「灌漑利用 (SC1)」をイスラエルが、「都市利用 (SC2)」を中国が、「工業利用 (SC4)」を中国とイスラエルが、それぞれの分野における再生水の使い方に関する規格開発を実施しており、再生水のリスク評価、再生水のグレード付けや再生水の製造技術の評価方法に関する「リスクと性能評価 (SC3)」については日本が規格開発を主導しています(図1)。
 これまでに、TC282全体では22件の規格が発行されており、日本は、SC3の中で5件の規格を発行し、現在は、さらに5件の規格を開発中です。

図1 ISO/TC282「水の再利用」の体制概要

●各国の国際規格開発対応
 水再利用に関連する規格開発は、TC282以外にもTC8/SC13/WG3「海水淡水化」、TC224/WG12「水の効率管理」があります。
 規格策定における国際会議への参加者は、国により違います。中国では、大学関係者や国の研究機関が、豊富な資金力をバックに規格作りを進めています。海水淡水化の規格に見られるように、国策の一つとして国際規格策定を位置付けています。イスラエルは、各企業の幹部が国際会議に参加し、企業活動の一環として、企業の製品の技術資料を国際規格にすべく活動しており、これを国がバックアップしています。
 我が国は、TC282について経産省のプロジェクトで国際会議への出席費用などの援助を受けながら、造水促進センターが取りまとめを行い、NPO法人や一般社団法人などの業界団体が、各省庁の関連部門と国内関連企業との合意を得ながら、規格開発をしています。企業の規格開発担当者は、業界団体の中で自主的に活動しているものがほとんどで、とても企業活動の一環で活動しているとは言えない状況です。水再利用に関する国際規格が今後の企業活動に活かされていくために、また、それを軸としてライフサイクルコストや省エネルギーなどの技術も一体となった取組みに向け、関係者のさらなる協力が不可欠です。

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・日本水フォーラムからのお知らせ

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– 第4回APWFウェビナーを開催します

第4回APWFウェビナーを次の要領で開催する次第です。
日時:11月26日(木)16時30分~17時30分
スピーカー:トーキル・ヨンク・クラウゼン氏(国際水アドバイザー、水源から海までの管理(Source-to-Sea Management)に向けたアクションプラットフォーム議長)
トピック:水源から海までの統合水資源管理―SDG6(水)とSDG14(海洋)のリンク

詳細はAPWFホームページ、及び、参加登録ページ(英語)よりご覧頂けます。

▼APWFホームページ▼
http://apwf.org/4th-apwf-webinar-integrated-water-resources-management-from-source-to-sea-linking-the-water-sdg-6-and-ocean-sdg-14/

▼参加登録はこちら▼
https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_SmthRmAuQvO0lVE1baP1Tw

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– 4℃ アクアプログラム2020年度の活動を開始しました!

アクアプログラムは、ジュエリーブランド『4℃』を展開する株式会社エフ・ディ・シィ・プロダクツと日本水フォーラムとの共同プロジェクトです。
「水」を通じた社会貢献により、水に関する問題を抱える途上国の女性たちを支援し、すべての女性へ「美しさ」と「ときめき」を届けることを目指し、2008年の開始から、これまでキリバス、スリランカ、バングラデシュで活動を実施しています。 
2017年からは、バングラデシュ(モレルガンジ郡ウッタースタロリ村第4地区)にて、継続的な活動を実施しています。

▼詳しくはこちら▼
https://www.waterforum.jp/all/grass_roots_projects/yondoshi/2020/1118/?p=15539?tag=jp,rep_jp

(報告者:ディレクター 浅井重範、アシスタント・マネージャー田畑美世)

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– ダルビッシュ 有 水基金 第14号プロジェクトを開始しました!

2007(平成19)年3月、ダルビッシュ有投手(現MLB シカゴ・カブス所属)は、日本水フォーラムと協力して、水不足や水の汚染などに苦しむ発展途上国の人々に安全な水を提供することを目的に、「ダルビッシュ 有 水基金」を設立しました。ダルビッシュ有投手は、公式試合で勝利投手となるごとに、同基金に10万円を寄付することを続けています。この基金を用いて、これまで11カ国で計13件のプロジェクトを実施してきました。
2020年11月より、パキスタンで第14号プロジェクト 「コロナ禍に見舞われたコミュニティの給水・衛生改善事業」 を実施します。

▼詳しくはこちら▼
https://www.waterforum.jp/all/grass_roots_projects/darvish/2020/1111/?p=15788?tag=jp,rep_jp

(報告者:ディレクター 浅井重範、アシスタント・マネージャー田畑美世)

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– 第9回世界水フォーラム 2022年3月に開催延期

2021年3月に初のアフリカ大陸・セネガルで開催が予定されていた第9回世界水フォーラムですが、セネガル共和国と世界水会議は、新型コロナウイルス感染拡大の状況を踏まえ、2022年3月へ延期することを正式に発表しました。

▼第9回世界水フォーラム公式ウェブサイト(英語)▼
https://www.worldwaterforum.org/en/home

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– 京都世界水大賞2022 公募期間を延長しました

第9回世界水フォーラムの開催延期を受けて、世界水フォーラムにおいて授賞式を実施している京都世界水大賞(※)についても、大賞の公募期間を2021年4月30日(金)までに延長することとしました。
※「京都世界水大賞」は、世界で唯一*、 途上国の水問題に向けて優れた草の根活動を続ける団体を顕彰する、国際的な賞です。(*日本水フォーラム調べ)

▼詳しくはこちら▼
https://www.waterforum.jp/all/grass_roots_projects/kyoto-prize/2020/0904/?p=15124

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・日本水フォーラムからの報告

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– 第3回APWFウェビナー開催結果概要

アジア・太平洋水フォーラム(APWF) は、第4回アジア・太平洋水サミット(4th APWS)開催までの間、アジア太平洋地域48カ国の政府職員、大使館職員及び日本政府の職員などを対象に、水分野の知見の幅を広げ、深化させることを目的としてAPWFウェビナーを開催しています。
第3回APWFウェビナーは、11月10日(火)に、ユネスコ・アジア太平洋地域科学局(インドネシア・ジャカルタ)シャバス・カーン局長を講師として、「グリーンリカバリーオプションに向けて、水セクターの道筋の再計画」と題して開催されました。

▼詳しくはこちら▼
https://www.waterforum.jp/all/policy_recommendations/apws/2020/1118/?p=16299?tag=jp,rep_jp

(報告者:マネージャー 朝山由美子)

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– JWFファンド2019 プロジェクト完了報告(ハイチ)

JWFファンド2019には、36カ国から302件の応募があり、選考の結果、6カ国7件の活動を支援しました。
今回は、ハイチで実施された地域給水設備の更新と住民の意識変化プロジェクトについて、ご報告いたします。

▼詳しくはこちら▼
https://www.waterforum.jp/all/grass_roots_projects/jwf/2020/1117/?p=15929?tag=jp,rep_jp

(報告者:ディレクター 浅井重範、アシスタント・マネージャー 田畑美世)

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・活動へのご支援・ご協力のお願い

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大胆な発想と行動力で地球上の水問題解決を目指す日本水フォーラムを応援してください

日本水フォーラムは、認定NPO法人です。日本水フォーラムへの「ご寄付」と「賛助会員の会費」は、税制優遇の対象となります。

▼税制優遇の内容はこちら▼
https://www.waterforum.jp/all/info/2020/0520/?p=13453?tag=jp,rep_jp

▼ご寄付・遺贈に関するご案内▼
https://www.waterforum.jp/jp/get_involved/make_a_donation

▼会員募集に関するご案内▼
https://www.waterforum.jp/jp/get_involved/become_a_member

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「第4回アジア・太平洋水サミット(4th APWS)」
開催日程:令和4(2022)年4月23日(土)~24日(日)

国内外の各種行事予定等を踏まえ、関係機関と調整しつつ、新たな開催日程を決定いたしました。
新たな日程で4th APWSを円滑に開催できるよう、引き続きご寄付・ご支援をどうぞよろしくお願い申し上げます。

▼寄付の詳細はこちら▼
https://www.waterforum.jp/jp/get_involved/make_a_donation#1

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▼過去のJWF Newsはこちら▼
https://www.waterforum.jp/jp/news/newsletter

※掲示板への掲載希望、新規配信希望、配信停止・変更などは、下記アドレスまで

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JWF News Vol. 193 令和2年11月18日発行
特定非営利活動法人日本水フォーラム(認定NPO法人)
〒103-0015 東京都中央区日本橋箱崎町5-4 アライズ第2ビル6階
TEL: 03-5645-8040 FAX: 03-5645-8041
E-mail: news[at]waterforum.jp URL: https://www.waterforum.jp
※[at]をアットマークに変えて送信してください。

現在、新型コロナウイルス感染拡大の防止対策として、テレワークを実施しています。
皆様の安全とご健康を祈念申し上げます。

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このコンテンツは、公益財団法人 河川財団の河川基金の助成を受けています。

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