JWF News 4月号 なぜ、水のサミット会議?

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【JWF News Vol. 174】なぜ、水のサミット会議? 
2019年4月17日発行

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◇目 次◇

・巻頭言 なぜ、水のサミット会議? 

・日本水フォーラムからのお知らせ
-第4回アジア・太平洋水サミット合同運営委員会(第一回)を開催します
– ダルビッシュ 有 水基金 第13号プロジェクト(インド)を開始しました!

・日本水フォーラムからの報告
– 提言「水未来会議からのメッセージ2019」を公開しました

・活動へのご支援・ご協力のお願いについて

・掲示板コーナー

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・巻頭言 なぜ、水のサミット会議?
代表理事 竹村公太郎

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2月の巻頭言で2019年1月11日、第4回アジア・太平洋水サミットの開催ホスト市が日本の熊本市に決定したことをご報告しました。
なぜ、水問題で各国の首脳級が集まるサミット会議が必要かを整理しておく必要があると考え、ここで記述しておきたいと思います。

1.アジア・太平洋水サミット発足の経緯
水問題は多岐の分野にまたがります。治水、水道用水、農業・工業の産業用水、水力発電そして河川環境が関係します。このように水は広範囲の国民生活に関係するため、多数の行政機関が複雑に関係しています。

日本でいうと、総務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、そして環境省の行政機関が、それぞれ複雑に役割分担をして業務を遂行しています。
多岐の分野にまたがる水問題は、1つ行政機関では解決できません。しかし、世界のどの国の行政も、縦割りという弊害に陥ってしまいがちです。水問題の解決が困難である原因は、この行政の縦割りにあるといっても過言ではありません。

水問題の解決があって初めて、社会の持続可能な発展が実現できます。そのためには水の縦割り行政を克服しなければなりません。縦割り行政を克服し、多分野の関係者の合意形成を実現するためには、国家のトップによる指導力が不可欠となります。

2006年メキシコの第4回世界水フォーラムで設立が決まった「アジア・太平洋水フォーラム(APWF)」でこのことが強く認識され、各国の行政を統括する首脳級による「アジア・太平洋水サミット(APWS)」が誕生していったのです。

2007年、第1回のAPWSが日本の大分県別府市で開催されました。

2.これまでの成果
アジア太平洋地域で誕生した「各国の首脳級による水サミット」は世界的に注目されました。水サミットの情報は世界に広がり、国のトップによる水問題の解決の必要性が大きな流れとなっていきました。

この潮流の中心となったのが日本でした。2014年、議員立法で「水循環基本法」が成立しました。この基本法によって、流域の多様な水関係者が協力して、流域の健全な水循環を志向していくことになったのです。
各地の流域関係者の活動を全省庁が支援していくため、内閣総理大臣が本部長となった水循環政策本部が設置されました。

このようにAPWFの発足と活動は、国会や政府にも影響を与えていくこととなったのです。

3.熊本市での第4回APWSの開催の意義
第4回APWSの開催ホスト地となった熊本市は、大きな特長を持っています。市民のライフラインである上水道を地下水でまかなっている世界でもまれな大都市なのです。
この地下水は、阿蘇山を含めた広域の水循環による賜物です。そのことを認識した熊本市は、1977年に「熊本市地下水保全条例」を制定しました。2007年には、水量・水質を両面保全し、将来に継承していくために同条例を総合的な条例に改正しました。
市民や事業者がこの地下水を保全していこうとする意志は、全世界の注目を浴び、2013年、国連「生命の水(Water for Life)最優秀賞」を受賞しました。

このように熊本市は、世界に先立って「健全な水循環」を具体的に実現している、世界でも注目すべき大都市なのです。
「健全な水循環」という言葉は、水の世界の潮流になりつつあります。これは、上流から海域までの流域で、多岐にわたる水関係者が合意形成を繰り返し、持続可能な流域社会を構築していこうという意思表示なのです。

熊本市で開催される第4回APWSは、健全な水循環の重要性を世界に伝え、各国のリーダーたちに水問題解決のためのリーダーシップを促進する、極めて意義のある水のサミット会議となっていきます。

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・日本水フォーラムからのお知らせ

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-第4回アジア・太平洋水サミット合同運営委員会(第一回)を開催します

アジア・太平洋水フォーラム(APWF、事務局:日本水フォーラム)と熊本市は共同して、来年「第4回アジア・太平洋水サミット」(4th APWS)を開催します。
APWF事務局・日本水フォーラムと熊本市は、「第4回アジア・太平洋水サミット」(4th APWS)を円滑に開催するために、第4回アジア・太平洋水サミット合同運営委員会(委員長:竹村公太郎・日本水フォーラム代表理事、副委員長:大西一史・熊本市長)の初会合を、4月18日(木)に開催します。

▼詳細はこちら▼
https://www.waterforum.jp/all/policy_recommendations/apws/2019/0417/?p=11010

(報告者:マネージャー 桑原清子)

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– ダルビッシュ 有 水基金 第13号プロジェクト(インド)を開始しました!

ダルビッシュ 有 水基金の第13号プロジェクトが、インド東部の西ベンガル州プルリヤー県で開始されました。村には住民が共同利用できる管理された水資源がなく、女性たちが毎日5 時間かけて水たまりやため池へ水を汲みに行っていますが、その量と質は十分ではありません。水汲みに一日の多くの時間を費やすため、貧困から抜け出すための行動を起こす時間も確保できません。また、住民たちの衛生に対する意識は低く、野外排泄が通常であり、衛生状態や彼らの健康状態に悪影響が出ています。本プロジェクトにより持続可能な水と衛生の設備を建設し、住民に啓発活動や維持管理に関する訓練を実施することで、約400人が安全な水を一年中得られる環境と、よりよい公衆衛生環境を得られるようになります。

▼詳細はこちら▼
https://www.waterforum.jp/all/grass_roots_projects/darvish/2019/0410/?p=10924

(報告者:マネージャー 石原小枝)

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・日本水フォーラムからの報告

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– 提言「水未来会議からのメッセージ2019」を公開しました

日本水フォーラムは、3月8日(金)、『国連【世界水の日】記念・水未来会議2019』を開催しました。
4年目に当たる今回は、昨年に引き続き、SDGs達成に向けた取組みにおける民間企業の役割の重要性と、民間企業との連携や協働に向けた取組み方策を議論しました。今回の議論を踏まえた提言を、「水未来会議からのメッセージ2019」としてまとめました。

▼詳細はこちら▼
https://www.waterforum.jp/all/policy_recommendations/future/2019/0320/?p=10835

(報告者:マネージャー 桑原清子)

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・活動へのご支援・ご協力のお願い

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日本水フォーラムは、皆様の会費及び寄付等によって国内外の水問題解決に向けた活動を行っております。
日本水フォーラムの活動を支援していただける会員を募集しております。
水問題解決に向けた持続可能な取組みを行うために、皆様の温かいご支援をなにとぞよろしくお願いいたします。

▼会員募集の詳細はこちら▼
https://www.waterforum.jp/jp/get_involved/

日本水フォーラムは、国内外の水問題解決に向けて分野問わず幅広い方々と協働で活動を展開しています。
日本水フォーラムの活動にご協力いただける方、ご興味のある方は以下よりお問い合わせください。

▼問い合わせ先はこちら▼
TEL: 03-5645-8040
E-mail: news[at]waterforum.jp
※[at]をアットマークに変えて送信してください。

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・掲示板コーナー

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【第11回水道技術国際シンポジウム】
主催:第11回水道技術国際シンポジウム実行委員会
日時:2019年7月9日(火)~11日(木)
場所:パシフィコ横浜 会議センター
https://water2019.jp

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JWF News Vol. 174 平成31年4月17日発行
特定非営利活動法人日本水フォーラム
〒103-0015 東京都中央区日本橋箱崎町5-4 アライズ第2ビル6階
TEL: 03-5645-8040 FAX: 03-5645-8041
E-mail: news[at]waterforum.jp URL: https://www.waterforum.jp
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