JWF News 10月号 水の安全保障への道筋:APWFの取組み

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【JWF News Vol. 168】水の安全保障への道筋:APWFの取組み
2018年10月17日発行

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◇目 次◇

・巻頭言 地球気候変動の歴史

・日本水フォーラムからの報告
– ストックホルム世界水週間2018 Asia Focusセッション開催報告
– 韓国国際⽔週間2018 セッション開催報告
– 2018年 第11回 国際水協会(IWA)世界会議・展示会 開催概要
– アジア開発銀行主催「アジア水フォーラム2018」参加報告

・採用情報
– アシスタント・マネージャー募集

・活動へのご支援・ご協力のお願い

・掲示板コーナー

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・巻頭言 地球気候変動の歴史
代表理事 竹村公太郎

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地球気候変動
温暖化は確実に進んでいます。温暖化により気象は狂暴になり、未来の日本列島に襲いかかってきます。未来の気象変動を考えるとき、是非、知っておくことは、過去の地球全体の気候変動です。
何十万年以上の長期的な時間軸で、地球の気候変動はどのように推移したのか。その地球の気候変動の中で、日本列島はどのような状況にあったのか。この過去の日本の姿は、未来の日本を考える上での指針となります。

(図-1)は、地球の34万年間の気温の推移です。図を作成した元データは、2000年に国立極地研究所の教授に教えていただいた数値データです。国立極地研究所が南極の氷床をボーリングして得た酸素同位体組成の数値です。この数値は当時の大気温を示しています。データが極めて膨大な数値データであったので、200年平均値を算出し、3,000年間の移動平均値を求めました。

この図は、私たち土木技術者が作業したもので、地球物理学的な正確さには欠けます。しかし、地球の長期の気候変動の傾向は鮮やかに表現できました。

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(図-1)

6,000年前の地球の温暖化
この図では、2万年前のウィスコンシン氷期や、6,000年前の縄文前期時代の温暖化時期が明確に表されています。この図によると縄文前期6,000年前の200年平均気温は、現在より2℃高かった。この値は、一瞬の値ではなく200年平均値であることに注意を要します。
縄文前期、海面が数メートル上昇していたことは地質学的に実証されています。海面が数メートル高かった理由は、陸上の氷河が融け海水を増加させたり、海水温上昇により海水が膨張することによります。

温暖化の海面上昇で最も大きな影響を受ける国は、海に囲まれた島国です。先進国では英国、オランダ、オーストラリア、米国、中国そして日本があります。この中で最も大きなダメージを受けるのが日本です。
何しろ日本の大都会のほとんどが、海に面した低平地の沖積平野に位置しているからです。

過去の海面上昇の再現
海面が数メートル上昇していた日本列島を再現してみました。
(図-2)は21世紀の関東地方の地形を表す標高図です。この海面を5mコンピュータで上昇させると縄文時代の地形(図-3)になります。海面は関東地方の奥深く入り込んでいきます。縄文時代、関東は海の下だったのです。
(図-4)は、400年前、徳川家康が江戸に入った時代の関東の地形です。当時、利根川と渡良瀬川は銚子ではなく、江戸湾に流れ込んでいました。

その当時、地球の大気温は寒冷化に向かっていて、海面は低下し、海は沖に向かって後退していました。かつて海だった江戸湾に、利根川、渡良瀬川、荒川そして多摩川が土砂を運び続けていたのです。江戸湾は土砂が堆積した大湿地帯だったのです。
徳川家康は、利根川を銚子へ向ける「利根川東遷工事」に着手しました。利根川と渡良瀬川の洪水が銚子に向かったことで、関東平野の乾田化が進み、日本最大の沖積平野が姿を現していったのです。

しかし、関東平野が湿地帯だったことは変わらず、洪水に脆弱な平野であることには変わりがありません。海面上昇が進展すれば、海からの高潮の脅威に直接曝されることになります。
これは関東平野だけではありません。日本列島すべての平野に共通する危険なのです。

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図-2 図-3 図-4

未来の災害
21世紀の現在、地球は温暖化の兆候を示しています。私が小学生の頃は「地球は寒冷化する」といわれていました。マンガでもSF小説でも「寒冷化」のストーリーで満載でした。
(図-1)の6,000年前の縄文海進から現在までの大気温の傾向を見ると、地球は寒冷化のトレンドにあったことが理解できます。それが現在は温暖化というのです。

寒冷化から一気にV字転換で温暖化に向かっていることになります。地球規模の大規模な気候変動を、短い私の人生時間の中で目撃しているのです。このようなことが本当とは今でも信じられない思いです。
地球の温暖化が進展するとき、日本列島は二つの側面から影響を受けます。一つは「気象の狂暴化」です。もう一つは「海面上昇」です。

気象の狂暴化は想定外の豪雨による災害です。これは日本列島を山の方から攻めてきます。海面上昇はじわじわと何百年間も続いていく高潮災害です。これは日本列島を海の方から攻めてきます。

日本文明は、地球規模の気候変動の最前線にいるのです。

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・日本水フォーラムからの報告

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-ストックホルム世界水週間2018 Asia Focusセッション開催報告

日本水フォーラムが事務局を務めるアジア・太平洋水フォーラム(APWF)は、2018年~2020年の間、ストックホルム世界水週間の主催者であるストックホルム国際水研究所(SIWI)と、Asia Focusセッション全体のコーディネート役を担う覚書を結んでいます。
本年度は、ストックホルム世界水週間2018(主催:SIWI、期間:8月26日~31日、場所:ストックホルム)の テーマ「水、生態系と人間開発」の観点から、2017年12月に開催した第3回アジア・太平洋水サミットで採択した「ヤンゴン宣言」の具現化に向けて、4つのセッションをAPWFパートナー機関とともに開催しました。

▼詳しくはこちら▼
https://www.waterforum.jp/all/policy_recommendations/apwf/2018/1017/?p=10194

(報告者:マネージャー、朝山由美子)

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– 韓国国際⽔週間2018  セッション開催報告

9月12日~15日にかけ、韓国・大邱市で韓国国際水週間(Korea International Water Week: KIWW)2018が開催されました。
日本水フォーラムは、KIWW2018における「技術・実施・政策(Technology Implementation Policy)プラットフォームフォーラム」において、「ミャンマーにおける洪水リスクに取り組む開発パートナー間の協力促進への道筋」に関するセッションを開催しました。

▼詳しくはこちら▼
https://www.waterforum.jp/all/policy_recommendations/2018/1017/?p=10209

(報告者:マネージャー、朝山由美子)

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– 2018年 第11回 国際水協会(IWA)世界会議・展示会 開催概要

2018年9月16日(日)から21日(金)までの6日間、東京ビッグサイトにて、第11回 国際水協会(IWA)世界会議・展示会が開催されました。国際水協会(IWA)世界会議・展示会は、水分野における他に類を見ないイベントです。今回の東京会議には、世界98ヵ国から約10,000名が参加しました。
開会式では、ダイアン・ダラスIWA会長及び小池 百合子東京都知事による主催者挨拶、皇太子殿下のおことば、石井 啓一国土交通大臣などの挨拶がありました。日本水フォーラムからは、副会長の丹保 憲仁が挨拶を述べました。

▼詳しくはこちら▼
https://www.waterforum.jp/all/2018/1005/?p=10124?tag=jp,rep_jp

(報告者:マネージャー 野口 淳)

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– アジア開発銀行主催「アジア水フォーラム2018」参加報告

2018年10月2日(火)から5日(金)までの4日間、フィリピン・マニラに所在するアジア開発銀行(ADB)本部にて、国際会議「アジア水フォーラム2018」が開催されました。この会議は、ADBの2030年までの行動戦略「Strategy 2030」における、アジア太平洋地域の水課題解決に向けたプロジェクト内容の改善に資する情報システム、技術、イノベーションに関する知見の共有を目的に開催されました。
日本水フォーラムは、第3回アジア・太平洋水サミットの成果のフォローアップの一環としてセッションにおいてプレゼンテーションを行いました。展示ブースでは、会員企業の皆様の水処理関連製品・サービスや日本の水循環の取り組みについて情報発信を行いました

▼詳しくはこちら▼
https://www.waterforum.jp/all/transmitting_japanese/2018/1016/?p=10137?tag=jp,rep_jp

(報告者: 副ディレクター 浅井 重範)

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・採用情報

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-アシスタント・マネージャー募集

現在日本水フォーラムでは、アシスタント・マネージャーを募集しております。
日本水フォーラムのミッションとビジョンを理解し、地球上の水問題解決に貢献したいという、強い意志をお持ちの方のご応募をお待ちしています。
ご質問等、お気軽にE-mail (recruit[at]waterforum.jp)またはお電話にてお問い合わせ下さい。
※[at]をアットマークに変えて送信してください。

▼募集内容の詳細はこちら▼
https://www.waterforum.jp/all/recruit/2018/0625/?p=4234?tag=jp,rep_jp

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・活動へのご支援・ご協力のお願い

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日本水フォーラムは、皆様の会費及び寄付等によって国内外の水問題解決に向けた活動を行っております。
日本水フォーラムの活動を支援していただける会員を募集しております。
水問題解決に向けた持続可能な取組みを行うために、皆様の温かいご支援をなにとぞよろしくお願いいたします。

▼会員募集の詳細はこちら▼
https://www.waterforum.jp/jp/get_involved/

日本水フォーラムは、国内外の水問題解決に向けて分野問わず幅広い方々と協働で活動を展開しています。
日本水フォーラムの活動にご協力いただける方、ご興味のある方は以下よりお問い合わせください。

▼問い合わせ先はこちら▼
TEL: 03-5645-8040
E-mail: news[at]waterforum.jp
※[at]をアットマークに変えて送信してください。

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・掲示板コーナー

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【第16回川の自然再生セミナー】
主催:公益財団法人リバーフロント研究所
日時:2018年11月6日(火)13:00~17:10
場所:月島社会教育会館4階ホール
http://www.rfc.or.jp/

【第198回河川文化を語る会】講演『豊臣秀吉・大坂城・大坂の陣と河川』
主催:公益社団法人 日本河川協会
日時: 2018年11月15日(木)18:30~20:30
場所:エル・おおさか(大阪府立労働センター)7F「709会議室」
http://www.japanriver.or.jp/kataru/kataru_index.htm

【第11回水道技術国際シンポジウム】
主催:第11回水道技術国際シンポジウム実行委員会
日時:2019年7月9日(火)~11日(木)
場所:パシフィコ横浜 会議センター
https://water2019.jp

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https://www.waterforum.jp/jp/news/newsletter

※掲示板への掲載希望、JWF News配信停止・変更、その他ご意見・ご要望は、下記アドレスまで

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JWF News Vol.168 平成30年10月17日発行
特定非営利活動法人日本水フォーラム
〒103-0015 東京都中央区日本橋箱崎町5-4 アライズ第2ビル6階
TEL: 03-5645-8040 FAX: 03-5645-8041
E-mail: news[at]waterforum.jp URL: https://www.waterforum.jp
※[at]をアットマークに変えて送信してください。

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