UNFCCC COP27において 2セッションに参加しました

 国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)第27回締約国会議(COP27)が、2022年11月6日~18日にエジプト・シャルム・エル・シェイクで開催されました。筆者は、11月10日に水パビリオンにおいて、「気候変動下における水ストレス管理」と題したセッションをタジキスタン政府、Alliance for Global Water Adaptation (AGWA)、フランス水パートナーシップ、 Center for Climate and Resilience Research(チリ)と共催しました。11月14日には、COP27公式サイドイベントにおいて、アジア開発銀行、バンコクに本部があるアジア太平洋災害準備センター(ADPC)と、「適応とレジリエンスにおける効果的な投資のための行動」と題したセッションを開催しました。以下にそれぞれの開催結果概要を紹介します。

水パビリオン「「気候変動下における水ストレス管理」」セッション 
 水パビリオンは、気候変動対策における水の重要な役割について認識を高めるため2021年にイギリス・グラスゴーで開催されたCOP26においてはじめて設置されました。今年の水パビリオンは、エジプトの水資源灌漑省によるリーダーシップのもと、10のテーマが設定され、30以上の機関が気候変動に関する意思決定者や交渉官に対して科学的知見に基づいた最新の知見や実践事例等を共有しました。日本水フォーラムは、3日目(11月10日)のテーマ「生活改善に向けた災害リスク低減と持続可能な都市」に即し、「「気候変動下における水ストレス管理」」セッションを上記パートナー機関と共催し、筆者はスピーカーとして参加をしました。

 本セッションでは、最新の科学分析を評価し、気候変動に対するレジリエンス強化に向けて、長期的な解決策を構築することの意義を探りました。世界各国の先進実践事例を通じて、河川流域における水関連災害リスク軽減、気候変動への適応、レジリエンス強化のための協働行動を促進する方法について議論しました。

 筆者は、「健全な水循環管理と流域治水を通じた日本の災害リスク低減と気候変動適応」と題した発表を行い、モデレーターと聴講者とのパネルディスカッションにも参加しました。第1に、我が国の気候変動適応法の概要、水資源管理分野の取り組みとして、流域治水政策を紹介しました。政策実施背景として、これまでの総合治水対策、水循環基本法・基本計画を紹介した後、具体事例として、横浜市の気候変動適応政策、とりわけ、鶴見川における官民連携の事例を共有しました。そして、ガバナンス、ファイナンス、科学技術の視点から異なるイニシアティブに携わる多様な利害関係者が災害リスク低減・気候変動施策で協働するには何が必要か提言を発信しました。

セッションの開催動画:https://www.youtube.com/watch?v=o5z3xjd4T2Y

セッションプログラム

セッションの紹介

Ms. Paulina López – Center for Climate and Resilience Research (CR)2

歓迎の辞

Ms. Rabab Fatima – UN Under-Secretary-General & High Representative for LDCs, LLDCs & SIDS, UN-OHRLLS

歓迎の辞

Mr. Sulton Rahimzoda – Chairman of the Executive Committee of the International Fund for saving the Aral Sea, Special Envoy of the President of the Republic of Tajikistan to the Water and Climate Coalition Leaders

事例:日本 (洪水)
「健全な水循環管理と流域治水を通じた日本の災害リスク低減と気候変動適応」

朝山由美子
日本水フォーラム チーフマネージャー(国際関係)

事例:チリ (渇水)

Mr. René Garreaud – Director, Center for Climate and Resilience Research (CR)2

事例:地中海 (洪水)
「地中海流域における気候変動―適応の第一ステップとしての早期警報」

Mr. Alix Roumagnac – CEO,  Predict Services

質疑応答・パネルディスカッション

モデレーター: Ms. Ingrid Timboe, Policy Director, AGWA
パネリスト: 朝山由美子, Alix Roumagnac

国レベルにおける災害リスク低減のための提言「国政府はどうやって災害リスク管理行動を各自治体で実施できる環境を構築できるか」

Mr. Alex Mauroner, Chief Operating Officer, Alliance for Global Water Adaptation (AGWA)

閉会挨拶

Ms. Paulina López

②  11月14日 UNFCCC COP27公式サイドイベント
 アジア開発銀行(ADB)とアジア太平洋災害準備センター(ADPC)と共催したサイドイベントでは、「適応とレジリエンスにおける効果的な投資のための行動」について議論しました。各パネリストからの事例や教訓を通じて、従来通りのアプローチから脱却し、気候変動への適応とレジリエンスへの効果的な投資を拡大するために必要な行動を確認しました。そして、気候適応への投資が長期的に効果的であるために重要な要素を特定し、適応投資の概念化、設計、実施において、特定した要素をどのように追求できるかを議論しました。 このような転換を可能にするためには、あらゆるレベル、セクター、テーマにおいて、リスクに基づいた包括的な意思決定が重要な鍵となります。

 本セッションは、ADB持続的開発・気候変動局長Bruno Carrasco氏が開催挨拶を述べ、適応投資の効果は、パートナーが中長期的な気候リスクを理解し、脆弱性の根本要因に取り組み、包括的な意思決定を支援し、現在のファイナンスシステムを評価し、進捗状況を適切にモニタリングすることができるかどうかであると述べました。 続いて、Adaptation Research AllianceのPilar Bueno Rubial氏が設定背景を述べ、,ラウンドディスカッションを開催しました。ADBの持続可能な開発・気候変動局気候変動と災害リスク管理部のArghya Sinha Roy専門官がモデレーターを務め、パネリストとして、筆者のほか、アジア災害準備センター(ADPC)Aslam Perwaiz副事務局長、持続可能な開発のための国際研究所(International Institute for Sustainable Development)Anne Hammilレジリエンスプログラム・シニアディレクター、 経済協力開発機構(OECD)環境・トランジション・レジリエンス局長のWalid Oueslati、海外・コモンウェルス開発局(FCDO)Louise Wilson気候科学アドバイザー、ADBのNoelle O’Brien気候変動と災害リスク管理部長がディスカッションに参加しました。

 第1ラウンドディスカッションでは、各パネリストが効果的と考えられる適応投資の例を一つあげ、その例を効果的にしている要因を共有しました。第2ラウンドディスカッションでは、モデレーターが各パネリストに対して個別の質問を投げかけました。筆者は、「流域全体で管理をする」という視点を取り入れ、水資源インフラのオペレーション分野の改善にも民間資金を公的資金に動員し、官民連携を適切に行っている鶴見川流域の事例を取り上げました。また、効果的な適応策に貢献するために、水管理に関するガバナンスをどう強化し、効果的な適応策に寄与することができるかを議論しました。 科学技術、ガバナンス、ファイナンスの相互作用によるエンド・ツー・エンドのアプローチで、水の価値と水資源のより良い管理について理解を深める。グローバルの知見とローカルの知見、利害関係者を繋ぐ、ファシリテーターの重要性、及び、ファシリテーターの能力育成が必要であることを強調しました。

 第2ラウンドパネルディスカッションでは、ガバナンスに関する議論のほか次のことを議論しました。

  • 国別適応計画プロセスに、どうやって効果的な適応投資に不可欠な原則が盛り込むか
  • 適応策や災害リスク軽減のための投資設計において、どのように衡平性への配慮を行うことができるか
  • 様々なリスクや不確実性に対処するために必要なことは何か、特に自然を基盤とした非構造的な解決策の取組みに寄与する要因は何か
  • 適応投資の効果指標をどのように設計し、より広範な意思決定システムに組み込むことができるか

 セッション動画:https://www.youtube.com/watch?v=zTYmfx576As

(報告者:朝山由美子 日本水フォーラム・チーフマネージャー<国際関係>)

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