JWF主催のウェビナーを開催しました

 日本水フォーラムは、2022年2月10日15時より以下のプログラムでウェビナーを主催し、リアルタイムで多くの方にご参加いただき、またその後に公開したウェビナーの録画も多くの方にご視聴いただきました。
 このウェビナーでは、日本水フォーラム・マネージャー、福田 裕子より、自然を活用した水問題への取組等についてご紹介し、その後熊本での取組として、熊本市環境局首席審議員兼水保全課長 永田 努 氏より、「市域を超えた官民協働による地下水保全の取組」をテーマにご講演いただきました。ご講演では、熊本市の地形の特色や加藤清正公の取組紹介、地下水涵養の重要性、官民の地下水保全の取組について紹介いただいた後、質疑応答を行いました。参加者の方からも多くの質問をいただき、非常に盛況となりました。
 ご参加いただいた皆様、誠にありがとうございました。こちらからウェビナーの様子をご覧いただけますので、ご興味のある方は是非ご覧ください。

当日のプログラム
15:00 開会挨拶
15:00-15:05自然を活用した取組等の紹介  
日本水フォーラム マネージャー 福田 裕子
15:05-15:45市域を超えた官民協働による地下水保全の取組  
熊本市環境局首席審議員兼水保全課長 永田 努 氏
15:45-16:00質疑応答
16:00閉会挨拶

ウェビナーの様子
お寄せいただいた質問について

質疑応答の時間とその後にお寄せいただいた質問の中から、代表的なものについて、熊本市様より以下のとおり回答をいただきました。たくさんの質問をお寄せいただき、ありがとうございました。すべてにお答えできませんことをご了承ください。

【地下水保全の取組について】

Q.1 地下水保全は地盤沈下の対策にもなるでしょうか。また、その他の効果などがあったら教えてください。

A.1 地下水量を安定させることで、地下の土壌の空隙の発生を抑え、地盤沈下を防ぐと考えられます。また、地下水の採取量や使用量を可視化することは合理的な水利用につながり、ウォーターフットプリントの把握につながると言えます。一方で、かん養林の整備や水田湛水などかん養域の農業を支えることで、雨水の表面流出や土砂災害の抑制、さらにCO2削減などの多面的な効果が期待されます。

Q.2 田んぼでの湛水の他に、都市部での浸透桝も運用されていると思いますが、浸透桝導入による周辺の地盤への影響はあるのでしょうか。

A.2雨水はその土壌のもつ浸透能力により自然に地下に浸み込むため、地盤が緩むなどの影響はほとんどないと思われます。ただし、斜面崩壊等の恐れがあるため、がけ地ではなく緑地での使用を勧めています。

【水保全取組における関係者との協働について】

Q.3 河川から取水して水張りを行っていると思いますが、水利権はどのような扱いになっていますか。

A.3 既存の営農における水利権の期間中に水田湛水事業を実施しています。

Q.4 土地所有権などの課題にはどのように対応されていますか。

A.4 一部民有地も存在しますが、現在の整備方針では国や自治体の所有地において森林整備協定を結び相互協力し、かん養林の整備を実施しています。

Q.5 森林で水を育むことに関して、市民の方の率直なイメージはどのようなものでしょうか。近年は豪雨による山地での土砂災害などが多く発生していますので、ネガティブなイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。

A.5 集中的な大雨により各地で土砂災害が発生していますが、市民の皆様は、適正に管理された森林には土砂災害を防ぐ効果があると認識されていると思います。

【具体的な取り組みについて】

Q.6 地下水位も昭和の頃のレベルまで回復されているように見受けられましたが、今後の取組の方向性について教えてください。

A.6 現在、第6次水源かん養林整備計画(H26年度~R5年度)に基づき森林整備を進めているところで、これから次期(第7次)計画に向けて上流域関係市町村と候補地選定などの協議をしていく予定です。また、かん養効果を高めるために水源かん養林の間伐や補植、獣害対策等の保育にも力を入れていきます。

Q.7 硝酸性窒素について、主体となる取組について教えてください。

A.7 熊本市における地下水中の硝酸性窒素の主な発生源は、施肥が約70%、家畜排せつ物が約30%を占めており、地域の営農形態によって異なります。取組としては、「熊本市硝酸性窒素削減計画」において、施肥対策として土づくり及び適正施肥を推進しています。具体的には、化学肥料の投入量や堆肥の投入量、土壌分析の実施数などの目標値を定め、農政部門と連携して対策を推進しています。

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このウェビナーは、(公財)河川財団の河川基金、及び(一社)関東地域づくり協会の助成を受けて開催されました。

(報告者:アシスタント・マネージャー田畑美世)

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