JWF News 2月号 水の価値化

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【JWF News Vol. 196】 2021年2月17日発行

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◇目 次◇

・巻頭言  水の価値化

・日本水フォーラムからのお知らせ
– 【3月10日開催】ウェビナー『世界の水、日本の水 -なぜ、水を考えるのか?―』ご案内
– 第8回APWFウェビナーのご案内
– アジア水開発展望2020年版の発表

・日本水フォーラムからの報告
– 第5回~第7回APWFウェビナー 開催報告

・活動へのご支援・ご協力のお願い

・掲示板コーナー

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・巻頭言  水の価値化
日本水フォーラム代表理事 竹村公太郎

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水問題とは?
 私たちはよく「水問題」という言葉を使います。もちろんこの言葉は国によって、地域によって異なります。
 乾燥地帯は干ばつです。モンスーン地帯は洪水です。先進国は水の浪費とエネルギー消費です。発展途上国は水汚染、水インフラ不足と水格差です。
 人々は「水は大切」と言います。しかし、言う意味はかなり隔たっています。
 水は生存にとって不可欠ですが、水は常に流動し、変化します。同じ資源と言っても、鉱物のように固定的に把握できないのです。水の地域性、流動性が、共通した水の価値基準を持てない原因となっています。
 さらに、同じ人間社会でも、政治、為政者、行政官、企業、家庭人の立場で水への視点が異なります。
 水の多様性と水への視点の多様性で、「水問題」という同じ言葉でも内容が大きく異なってしまうのです。

共通の視点、評価指標は?
 水には共通の視点、指標がないことが、水問題の解決を難しくしています。
 水の共通指標があれば、国と民族を超えて、水の貴重さが議論できます。
 水の共通指標があれば、社会分野を超えて、水インフラ投資と既存水インフラ維持の必要性が理解されます。
 水の共通指標があれば、国際的な水分担連携の議論もできるかもしれません。
 では共通の指標とは何でしょうか
 ・世界中の国々で認識できる共通の指標
 ・すべての分野の人々が理解できる共通の指標
 ・主観的ではなく、公平で、公開され、客観的な共通の指標
 現在の世界で、これらの条件を満たす共通の指標は「価格」つまり「金銭」となります。
 社会で生産や生活を支えるものは「資産」と呼ばれます。すべての資産は金銭評価されます。水も資産です。しかし、その資産価値は金銭評価されていません。

水の金銭評価の困難
 水の価値を金銭で評価しようとする研究や議論は昔からありました。この試みは難しい課題を抱えていました。水の存在は、地域共同体の誕生と深くかかわっていたからです。
 人類の共同体は水を利用した農業から誕生していきました。何千年、何百年の長い歴史の中で、それぞれの共同体は水インフラを建設し、水の運用や水の分かち合いの知恵と工夫を構築してきました。それが共同体の水文化となって社会全体に染みわたっていったのです。
 共同体の中を流れている水、共同体が使用している水に、水文化が染み込んでいるのです。共同体の水文化とは、共同体の歴史とも言い換えられます。
 それを金銭で評価しようした瞬間、行き詰ってしまうのです。共同体の水文化、水の歴史を金銭で評価などできません。しかし、それが金銭で評価されなければ、人間のすべての営みに不可欠である水は、無価値なままです。

世界水システムの中の日本
 日本は、世界の水システムに深く組み込まれています。
 図1でそれを説明します。日本国内の農業、工業そして水道水の使用量は国土交通省が算出しています。これは日本列島の水なので、日本の自給率に計上されます。
 ところが、日本人が消費している水は、日本列島の水だけではないのです。ラーメン、パンの原料の大豆、小麦など世界各国から輸入しています。外国でその食糧を生産する水、バーチャルウォーターが存在します。
バーチャルウォーターを加えて、日本人の水の総消費量を示したのが図2です。バーチャルウォーターの率は40%となります。
 日本の水の自給率は60%になります。日本人は水に関して、世界に40%も依存していることとなるのです。
 世界の水問題・水危機は日本の問題なのです。

(図1)

(図2)

流域単位での水の価値評価
 「20世紀は石油の世紀、21世紀は水の世紀」と云われます。地球規模で水の重要性は高く、水危機も迫っています。地球規模で共通の、水の評価指標の必要性は高いのです。
 ・水は物理的に流域に属します
 ・流域ごとに地形と気象が異なります
 ・流域ごとに歴史が異なり、文化が異なり、水に関する合意形成が異なります
 これらを考慮すると、水の価値評価は、流域単位で行っていくことになります。
 日本列島に生きている私たちは、日本列島でやれることを行い、世界に発信することが必要です。
 その一つが、水の評価指標を示して、世界に発信していくことです。
 これは、世界の水に依存している日本の使命であり、責務でもあります。

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・日本水フォーラムからのお知らせ

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– 【3月10日開催】ウェビナー『世界の水、日本の水 -なぜ、水を考えるのか?―』ご案内

「持続可能な」という言葉を聞いたことはありますか。2015年、国連にてSDGs(持続可能な開発目標)が採択され、日本でもいろいろな場所で目にするようになりました。人間の生命や活動には水が欠かせないことから、この目標を達成するためには、水問題への取り組みが不可欠です。一方で、手洗いのための衛生施設が不足している地域での新型コロナウイルス感染症の感染拡大、水不足、気候変動による水関連災害の甚大化など、世界では様々な水問題が報じられています。
 日本や世界ではどのような水問題が起きているのか、また私たちは水問題とどのように関係し、取り組んできたのか。「水」について考えてみませんか。

▼詳細はこちら▼
https://www.waterforum.jp/all/info/2021/0217/?p=16629

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– 第8回APWFウェビナーのご案内

・日時:3月12日(金)15:30-16:30(日本時間)
・トピック:新型コロナウィルスや他の災害に対する脆弱性を低減するための入り口としての 水・衛生・衛生環境(WASH)
・ スピーカー:国連ハビタット
 - 是沢優 国連ハビタット福岡本部長
 - Dr. Avi Sarkar, the Regional Advisor, South-East Asia, Urban Basic Services, UN-Habitat
 - Ms. Inga Korte, the UN-Habitat Team Leader Urban Climate Resilience for Fiji and the Solomon Islands.
 - Mr. Juan Torres, Information Management Officer for UN-Habitat Lao PDR Office
 - Ms. Oddy Angel, the Programme Coordinator of Community-driven Development Unit for Myanmar.
 - Ms. Parul Agarwala, Country Programme Manager, UN-Habitat, India office

▼参加登録情報はこちら▼
https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_76BuAqHKQNum1u8yjZxlXw

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– アジア水開発展望2020年版の発表

アジア開発銀行(ADB)と、日本水フォーラムが事務局を務めるアジア・太平洋水フォーラム(APWF)は、2020年12月18日(金)に「アジア水開発展望(AWDO)2020年版」を発表しました。AWDOは、アジア太平洋地域の水の安全保障の状況の詳細を分析し、地域が直面している重要な水課題をまとめた報告書です。これまでに、第1版(2007年)、第2版(2013年)、第3版(2016年)が発行されています。

▼詳しくはこちら▼
https://www.waterforum.jp/all/info/2020/1224/?p=16498?tag=jp,rep_jp

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・日本水フォーラムからの報告

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– 第5回~第7回APWFウェビナー 開催報告

アジア・太平洋水フォーラム(APWF)は、第4回アジア・太平洋水サミット(4th APWS)開催までの間、アジア太平洋地域48カ国の政府職員、大使館職員及び日本政府の職員などを対象に、水分野の知見の幅を広げ、深化させることを目的としてAPWFウェビナーを開催しています。

第5回及び第6回APWFウェビナーは、アジア開発銀行及び経済協力開発機構(OECD)による、アジア水開発展望2020(以下、AWDO2020という)について、特に、ファイナンスとガバナンスの観点から、概要とその提言について情報提供いただきました。
また、第7回APWFウェビナーでは、水管理に関する国際的な遷移を経て、IWRMがどのように定義づけられたかを紹介しました。

▼第5回及び第6回APWFウェビナー開催結果概要はこちら▼
https://www.waterforum.jp/all/policy_recommendations/apws/2021/0217/?p=16676?tag=jp,rep_jp

▼第7回APWFウェビナー開催結果概要はこちら▼
https://www.waterforum.jp/all/policy_recommendations/apws/2021/0217/?p=16676?tag=jp,rep_jp

(報告者:マネージャー 朝山由美子)

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・活動へのご支援・ご協力のお願い

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大胆な発想と行動力で地球上の水問題解決を目指す日本水フォーラムを応援してください

日本水フォーラムは、認定NPO法人です。日本水フォーラムへの「ご寄付」と「賛助会員の会費」は、税制優遇の対象となります。

▼税制優遇の内容はこちら▼
https://www.waterforum.jp/all/info/2020/0520/?p=13453?tag=jp,rep_jp

▼ご寄付・遺贈に関するご案内▼
https://www.waterforum.jp/jp/get_involved/make_a_donation

▼会員募集に関するご案内▼
https://www.waterforum.jp/jp/get_involved/become_a_member

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「第4回アジア・太平洋水サミット(4th APWS)」
開催日程:令和4(2022)年4月23日(土)~24日(日)

国内外の各種行事予定等を踏まえ、関係機関と調整しつつ、新たな開催日程を決定いたしました。
新たな日程で4th APWSを円滑に開催できるよう、引き続きご寄付・ご支援をどうぞよろしくお願い申し上げます。

▼寄付の詳細はこちら▼
https://www.waterforum.jp/jp/get_involved/make_a_donation#1

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・掲示板コーナー

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【JICE REPORT 第38号 発刊】
発行:一般財団法人国土技術センター(JICE)
URL:http://www.jice.or.jp/tech/reports/detail/16/42

【河川財団 令和2年度河川教育研究交流会】
主催:公益財団法人河川財団
開催日時: 令和3年3月16日(~令和3年3月30日)
視聴方法:Web上での配信
URL:https://www.kasen.or.jp/kikin/info/itemid793-001506.html

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▼過去のJWF Newsはこちら▼
https://www.waterforum.jp/jp/news/newsletter

※掲示板への掲載希望、新規配信希望、配信停止・変更などは、下記アドレスまで

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JWF News Vol. 196 令和2年2月17日発行
特定非営利活動法人日本水フォーラム(認定NPO法人)
〒103-0015 東京都中央区日本橋箱崎町5-4 アライズ第2ビル6階
TEL: 03-5645-8040 FAX: 03-5645-8041
E-mail: news[at]waterforum.jp URL: https://www.waterforum.jp
※[at]をアットマークに変えて送信してください。

現在、新型コロナウイルス感染拡大の防止対策として、テレワークを実施しています。
皆様の安全とご健康を祈念申し上げます。

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このコンテンツは、公益財団法人 河川財団の河川基金の助成を受けています。

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