APWFウェビナーの開催―第4回アジア・太平洋水サミットに向けた取り組み

日本水フォーラムが事務局を務めるアジア・太平洋水フォーラム(Asia-Pacific Water Forum: APWF) は、第4回アジア・太平洋水サミット(4th APWS)開催までの間、アジア太平洋地域48か国の政府職員、大使館職員及び日本政府の職員などを対象に、水分野の知見の幅を広げ、深化させることを目的としてAPWFウェビナーを開催します。これは、1か月に一回程度、60分間で行い、APWFメンバー機関をはじめとする国際機関等に講師を依頼します。
これまで2回のAPWFウェビナーを開催しましたが、それぞれ100名程度の方々に聴講をして頂きました。従来通りの国際会議だと移動に時間とコストがかかるため参加を見合わせていた方々が積極的にウェビナーを聴講し、自国の実情を紹介しながら意見交換する姿が印象的でした。

第1回のAPWFウェビナーは、9月23日(水)に、シンガポール国立大学リークワンユー公共政策大学院水政策研究所上級フェローのセシリア・トルタバータ博士を講師として「気候変動と国の安全保障」と題して開催されました。トルタバータ博士から、

  1. 気候変動への対応は、依然として不十分である。気候変動への対応は、誰もが取り組むべき人道的な課題として、社会全体における理解と政治的意思決定が必要である。市民社会は課題を理解し、政府は、国民自ら行動するよう促す必要がある。
  2. 水資源の安全保障を確保するためには、自然、政策、リスク、安全保障、政治的要素が相互に影響して生じる課題を正確に理解し、不確実な未来にも適応できるよう取り組みを包括的に刷新していく必要がある。

    と説明があり、太平洋島しょ国や中央アジア、国際機関からの参加者からの質問にも答えました。

第1回APWFウェビナーの当日の模様と参考資料は、下記よりご覧頂けます(英語)。
http://apwf.org/1st-apwf-webinar-climate-change-and-national-security/

 

第2回APWFウェビナーは、10月7日(水)に、世界水パートナーシップ(GWP)議長ハワード・バムジー氏を講師として、「気候変動と持続可能な開発と投資―良好なガバナンスを通じたリスクと機会」と題して開催されました。バムジー氏から、以下のような説明がありました。

  1. 世界の金融システムが段階的にグリーンな取り組みに注力しているは有益な傾向であるが、気候変動の影響への適応に対する投資額は十分ではない。気候変動リスクへの対処には、投資家が避けられないと認識している異なる一連の気候変動リスクに対応して投資のパターンを変える必要がある。各国は、ある課題の他への影響も含めて、各々異なる状況を注視し、特定の状況それぞれに合った適切な取り組みを行っていく必要がある。何にでもあう特効策はない。
  2. 水分野における気候変動対策に関する取り組みの進展はみられるが、そのスピードは十分ではない。公的資金あるいは民間投資を増やすためには、ガバナンスの改善が不可欠である。
  3. 水分野に携わる組織は非常に細分化され多数存在し、各々が並行で動いている。 水分野への投資を増やし、水の安全保障を確かなものとしていくためには、世界中の水分野の組織全体が、より一層一貫性を持ち、水分野の枠を超えたより幅広いコミュニティとも協働していく必要がある。 

また、GWP東南アジアが実施している水と適応策に関するファイナンスや防災への事前投資推進のための取り組み、アジア開発銀行(ADB)と共同して実施している「ユースプログラム・アジア」の取り組みをビデオで紹介しました。

第2回APWFウェビナーの当日の模様と参考資料は、下記よりご覧いただけます。
http://apwf.org/2nd-apwf-webinar-climate-change-sustainable-development-and-investors/

今後のAPWFウェビナーの情報は、APWFのホームページや、JWFのFacebookTwitterより紹介します。

(報告者:マネージャー 朝山由美子)

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