水と衛生のSDGs達成に向けて国連アジア太平洋経済社会委員会(UNESCAP)が議論を進めていることと、日本からの貢献の可能性について -統合的アプローチにおける定量的・定性的施策の重要性や具体的取組みについて

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セミナーの様子 ワークショップの発表の様子

 

いま国際社会では、水は、SDGs目標6(水と衛生)だけではなく、他のSDGs目標との密接な関係から、水問題は複合的に取り組む必要があると認識されています。日本水フォーラム(JWF)が事務局を務めるアジア・太平洋水フォーラム(APWF)は、11月28-29日にタイ(開催地:バンコク)の国連会議センターで開催された「持続可能な開発目標(SDGs)達成計画策定のための統合アプローチ推進にかかる地域セミナー」(主催:国連アジア太平洋経済社会委員会(UNESCAP))に参加し、国際機関で議論されている統合的水資源管理の取組みについて情報収集を行うとともに、名古屋市での取組みの紹介を通じて具体的な施策の提案を行いました。

 

会議のポイント

(1)SDGs目標6(水と衛生に関する目標)と他のSDGsの関連を示すツールの作成と統合的アプローチの推進について
UNESCAPは、水と衛生にかかるSDGs目標6を達成するために、SDGs目標6におけるターゲット相互間、及びその他16のSDG目標とその内のターゲット相互間において、どのようなつながりや相乗効果があるかを明示する必要性を強調し、そのためのツールを作成しました。
会議では作成したツールを使用し、ベトナムのツーリズム開発に関する事例等を通じて、会議参加者とSDG6達成に向けた統合的アプローチに関する知見の共有や、その遂行に向けた各国・都市レベルにおける制度的枠組み、及び、アジア太平洋地域内のパートナーシップの構築に関する意見交換を行いました。
またAPWFは、施策を推進するにあたり、現状や進捗を評価するためのデータを補完・充実・共有に向けたパートナーシップの構築や、アジア太平洋地域の多様な専門家や実務家等幅広いコミュニティが集結したパートナーシップを通じて、アジア太平洋地域の自助・共助を高めていくことの必要性について言及し、APWFの更なる活用の重要性を訴えました。

 

図1:SDGsの中心に目標6(水と衛生)が核となっている

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 参照:UNESCAP, 2015 UN-Water Regional Expert Consultation on Water and Security
in  Asia-Pacific, 9-10 November 2015.

 (2)統合的水資源管理に関する名古屋市の取組みの発表
APWFは会合において、名古屋市の「水の環復活2050戦略」実現に向けた取り組み、及びそのアプローチについて発表を行い、流域圏内の多様な利害関係者を巻き込み、定量的、定性的に事業を推進することの重要性を強調しました。
名古屋市では、環境首都構築に向けて2050年ビジョンを策定しており、ポイントは以下の通りです。

-1.2050年の姿から逆算して長期的な取組みの方向性や道筋を示すとともに、今後10年間の中長期の取組みの方向性や道筋、定量的な目標設定を示し、具体的な施策を講じて進捗管理を行う
-2.都市部に安定的に安全な水を供給し、かつ水災害に強い都市づくりを実現するため、地方自治体や地域産業、市民団体の河川流域圏内における広域連携を行う。本連携は、強靭な都市を実現するのみならず、域内の交流によって経済活性化等の効果をもたらす。

(3)終わりに~日本からの貢献と、APWFの果たす役割について~
会議では、名古屋での事例を紹介することにより、参加者の間で具体像を共有して議論を進めることができました。
JWFは、APWF事務局の活動を通じ、SDGs目標6の達成に向け、APWFの各パートナー機関によるナレッジ・プラットフォームや協働、相互支援を活かし、アジア・太平洋地域の各国のSDG6の達成に向け、資源が適切に動員される仕組みづくり等に対して政策提言を行っていく次第です。

(報告者:マネージャー 朝山由美子)

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