ダルビッシュ有水基金・第18号プロジェクト完了報告

「貧困者への雨水」バゲルハート県サウスカリユニオン(バングラデシュ)

雨水貯留槽設置状況

1.事業地

バングラデシュ クルナ管区 バゲルハート県 シャランコラ郡 サウスカリユニオン ライエンダ村 バクルタラ地内  Jagrata Juba Shangha(JJS)事務所

バングラデシュ位置図
クルナ管区サウスカリユニオンの位置

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【事業地の平面図】
実施団体JJS開発センターの平面図。サイクロンシェルターと事務所棟間の→印位置に雨水貯留システムを新設する。下部に既設ため池、その右に、既設砂濾過装置PSFがある。

2.受益者数

500人(100世帯、男性174人、女性176人、子ども150人)

3.現地パートナー団体

Jagrata Juba Shangha(JJS、ベンガル語:目覚めた青年協会)

Website:  www.jjsbangladesh.org
Facebook:  https://www.facebook.com/jjsbangladesh

4.プロジェクト実施概要

 「Rain Water for the Poor(貧困者のための雨水)」プロジェクトは、2025年7月から2026年1月まで、バゲルハート県 シャランコラ郡 サウスカリユニオン ライエンダ村で実施された。本プロジェクトは、JJS開発センターのサイクロン避難所付近に地域住民向けの雨水貯留システム(RWHS)を設置して、貧困により脆弱な地域住民500人への年間を通じた安全な飲料水アクセス提供を目的とする。主な活動内容はMoU(覚書)の締結、NGO局からの承認取得、請負業者の選定、RWHSの施工、管理委員会の設立、地域住民・学校の衛生啓発活動だった。総貯水容量40,000リットル(10,000リットル雨水貯留槽を4基)のRWHSの建設は完了したが、雨水貯留槽のうち1基が輸送中に損傷したので計画より遅れた。村の中庭や学校での学習会を通じて、安全な水の利用、衛生および衛生管理(WASH)に関する意識向上が図られた。

【成果】
  • 500人(100世帯:男性174人、女性176人、子ども150人)のRWHS利用
  • RWHS管理委員会の設立と定期会合の実施
  • 地域住民と学生向け衛生啓発キャンペーンの実施
【課題】
  • 搬送中に10,000リットル雨水貯留槽4基のうち1基が破損
  • 特注品なので、計画より遅れた2025年10月最終週に新雨水貯留槽納品
  • 雨季が終わってしまいRWHSの設置は完了したが稼働ができず、待機中
  • 雨季到来次第雨水収集開始、水質試験と住民の声を追加報告する。時期は2026年4月以降を見込む

5.プロジェクト活動の内容

1)契約と署名

 本プロジェクトの覚書(MoU)は、2025年7月1日にJJSと日本水フォーラム(JWF)の間で締結され、正式に開始した。

2)NGO局承認

 2025年7月第1週の覚書締結後、JJSはバングラデシュ政府首相府NGO局の正式承認に必要な外国寄付申請書(Form-6)の準備を行い2025年6月第3週に提出された。通常3か月かかる審議期間を大幅に早くしていただき、2025年8月13日にNGO局の承認を取得してプロジェクト活動は遅延なく開始した。

3)現地説明

 2025年12月11日、JJS開発センターで現地説明会議が開催された。会議には、地域住民、地元選出代表者、その他の関係者を含む約30名が参加した。この会議で、プロジェクトの背景、現在の進捗状況、技術設計、設置場所の選定、受益者基準、RWHS管理委員会による今後の運営体制、ダルビッシュ有選手による資金支援が説明された。

現地説明会議
4)施工請負業者選定

 2025年8月26日にRWHS施工および雨水貯留槽調達公開入札を実施して、競合評価過程を経てマリヤム・エンタープライズ(Maryeam Enterprise)を施工請負業者に選定した。建設作業は2025年9月に開始して、11月第3週に完了した。

基礎施工
雨水貯留槽納品
5)RWHSの施工

 2025年9月にRWHSの施工は開始した。建設資材と機材の搬入後、鉄筋コンクリート製基礎と保護構造物の整地から工事が始まった。基礎と保護構造物が完成して、容量10,000リットルの雨水貯留槽4基が設置された。施設施工にあたり、耐久性、効率的な雨水収集、維持管理の容易さを考慮した設計仕様の承認を行った。主要構造物が設置されて、RWHSの全容が整った。

床面完成
屋根(集水面)完成
雨水貯留槽と銘板
RWHS完成!
6)RWHS管理委員会

 2025年11月、地域住民と利害関係者を代表する10名による委員会が設立した。この委員会は、定期的に開催してRWHSの日常運営に責任を負う。主要な運営・維持管理費用はJJSが負担して、管理委員会は軽微な修繕・改善に向けた地域資源の動員を可能な範囲で行う。JJSは隔月で管理委員会と会合をして、技術、活動の調整や監督による支援を行い、自治体等と連携する。

RWHS管理委員会
7)地域住民衛生啓発キャンペーン
(1)中庭学習会

 地域住民向けに中庭学習会が2回実施され、衛生および安全な水の利用意識向上研修を行った。第1回は2025年12月11日にライエンダ村内で開催され、男女約20名が参加した。第2回中庭学習会は、2026年1月3日にウッタル・サウスカリ村で開催され、大半が女性の約80名が参加した。内容は個人衛生、重要な場面での手洗い、安全な水の取り扱い、衛生習慣、水系感染症の予防だった。また、RWHSの利用方法、維持管理、利点の説明と、世帯での雨水収集・安全な保管も指導があった。

第1回中庭学習会
第2回中庭学習会
(2)学校学習会

 2026年1月13日にJJS開発センターの南にあるチャルタブニア村のスンダルバンス中学校で、7~9年生約55人に健康・衛生啓発研修を実施した。JJS職員がファシリテーションを行い、教師も参加して授業で同様な衛生啓発学習会を継続すると約束した。学習内容は年齢に応じた実践的なもので、重要な場面での手洗い(食前、トイレ後、遊びの後、調理前)、飲料水の安全な利用・保存、衛生習慣、一般的な水系感染症や衛生関連疾患の予防が扱われた。正しい手洗い方法の実演と練習も行った。生徒たちは水不足問題を共有して、実践的低コスト解決策を積極的に学んだ。学んだことを、家庭や地域で衛生活動大使となって共有しようと呼びかけ終了した。地域全体の長期的な健康向上に貢献してほしい。

学校学習会①
学校学習会②

8)水質検査

 プロジェクト期間と雨季がずれたため、収集した雨水による水質検査は実施できなかった。次の雨季で雨水が収集され次第、施設で飲料水として使用する前にサンプル採取して認定検査機関で水質検査を行う予定である。

9)引き渡し式

 2026年1月14日にJJS開発センターで引き渡し式を開催した。式典にはRWHS管理委員会の全10名の委員が出席してRWHSの運営・管理の責任は公式に委員会へ移譲された。会合では、システムの運用方法、基本的なトラブル対応、貯水槽や雨樋の清掃、及び安全面でのRWHSの技術と役割が確認された。委員たちは、システムを適切に管理してすべての受益者にとって公平な水アクセスを実施すると意欲を表明した。

引き渡し式

6.結び

 「貧困者のための雨水(Rain Water for the Poor)」プロジェクトは、バゲルハート県 シャランコラ郡 サウスカリユニオン ライエンダ村にて、若干の問題が発生したものの、主要目的を達成した。水質検査以降の工程は、雨季になり次第行う手配を済ませてある。本プロジェクトによって持続可能で災害に強い水供給システムの設置と、地域住民共同体による効果的な施設管理が可能となった。脆弱な世帯への、長期的に安全な飲料水アクセスの基盤は築かれた。

【前記事】

▼2025.12.17 ダルビッシュ有水基金・第18号プロジェクトの中間報告です!▼

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【お問い合わせ先

特定非営利活動法人 日本水フォーラム
TEL 03-5645-8040 FAX:03-5645-8041
office[at]waterforum.jp([at]を@に代えて送信してください)

(報告者:プロジェクトマネージャー 鈴木武二郎)

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