ストックホルム世界水週間2023 「聖杯の探索:水への投資を加速する」

  • 8月22日 日本時間 16:00~17:30 (ストックホルム時間9:00 – 10:30am)
  • 共催機関: ADB, APWF, OECD, WaterEquity

本セッションでは、アジア太平洋地域における水の安全保障に関する現在の資金ニーズ、資金動員の必要性について言及し、各スピーカーが事例共有を行いつつ、民間セクターの投資誘致における課題、水の安全保障を支援するために公的セクターの資金をより効果的・効率的に活用する方法、その他の革新的な資金調達手段について議論しました。

セッションの冒頭、バスキ・ハディムリヨノ インドネシア政府公共事業・国民住宅大臣が開会挨拶をしてくださりました。バスキ大臣は、インドネシアでは、今年1月から8月中旬時点においても、2500件以上の水関連災害が発生したこと、水と衛生、水資源管理、水関連災害リスク管理に関するインフラプロジェクトは中央政府と地方政府の資金に依存しているが、これらの資金は非常に限られていることから、政策と行動のデザイン、及び、それらへの実施、投資を促すための革新に取り組んでいること、水インフラ整備を加速させるために、投資家からの資金を集める「インドネシア水資金」を設立したことを紹介しました。また、2024年5月に、インドネシア・バリ島で開催する第10回世界水フォーラムでは、「持続可能な水ファイナンス」に関する議論は、主要テーマのうちの一つであることを言及しました。このテーマでは、統合的な「水源から蛇口まで」のアプローチを採用し、ブレンドファイナンスモデルを展開すること、小規模の官民連携プロジェクトを実施していくこと、また、ブレンドファイナンスプラットフォームを設け、イノベーションを促進すること、政治的な連携の管理やリスク管理計画、ブレンドファイナンスを支援するためのガバナンス政策の強化を含むブレンドファイナンスの実施、及び、水インフラサービスプロバイダーの信用力向上、グリーンファイナンスを促進し、水の危機の抑止と気候変動に対する適応力を確保するための資金調達等について議論することを紹介しました。

発表者のうちの一人である、インド・CEPT大学水と衛生センター主幹のMeera Mehta氏は、インド政府主導の「クリーン・インディア・ミッション」のうちの一つとして、衛生改善に向け、各家庭にトイレを設置する際に公共セクターから資金提供が行われているものの、政府からの資金は十分ではないことから、女性を中心とした、非常に大規模なグループが、マイクロファイナンスセクターや商業銀行セクターと非常に強力な連携を構築し、衛生設備の改善、及び、女性への施設・サービスアクセスの支援を行っている事例を紹介しました。また、マハラシュトラ州で展開されている「ハイブリッド・アニュイティ・モデル(HAM)」を紹介しました。進捗は早いとは言えないものの、このモデルを使用して32の主要な下水処理プラントが建設されたこと、及び、マハラシュトラ州地方政府(ナグプル市議会)と、火力発電所との共同で下水処理プラントに関するプロジェクトへの資金提供事例を紹介しました。発表の最後にインドの地方政府や公益事業は、商業的な資金を市場や市町村債などを通じて資金調達する可能性に注視すべきと言及し、商業的な資金調達においても、支払い遅延の問題に対処していくためにも、IoTを活用した優れたモニタリングを行っていくことが特に重要であることを強調しました。

セッション動画: https://www.youtube.com/watch?v=su4-Xh-uvyM

(報告者:マネージャー 朝山由美子)

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