2005年8月末に米国南部を襲ったハリケーン・カトリーナは、米国に大きな被害を もたらしました。日本水フォーラムでは、ハリケーン・カトリーナに関して単に事象 的なことを追うだけでなく、世界各地でどのような報道がなされているかを調査して きました。まさに、世界中のメディアがニューオリンズ市、そして米国全体の防災対 策や避難態勢についての非難を報じている頃、米国陸軍工兵隊より「日本の具体的事 例を教えて欲しい」との要請が日本水フォーラムにありました。そこで、日本水 フォーラムは、日本の防災政策上大きなエポックとなった昭和34年の伊勢湾台風後 の対策を中心に、中部地方整備局のご協力を得て「伊勢湾台風とその教訓(英語 版)」(PDF, 4.03MB)をまとめました。そして、ハリケーン・カトリーナの被災地に赴き、米国陸軍 工兵隊、地元の堤防組合の方々と現地調査をしながら、日本の経験を伝えると共に対 策等について議論を行ってきました。


 米国陸軍工兵隊ニューオリンズ地区事務所からは、堤防復旧の状況について、次の ような説明を受けました。
  • 浸水被害を受けた区域の排水は完了しており、破堤した堤防も12月にはカトリー ナ来襲以前の高さまで暫定復旧が完了する予定である。
  • 並行して破堤原因を調査中であり、これを反映した形での本格復旧は、次のハリ ケーン時期である来年6月の完了を予定している。
  • 現在行っている堤防復旧は、あくまでも「現状復旧、計画認可されている高さま での復旧」であり、破堤前よりも嵩上げすることは考えていない。
 これに対し、調査団からは設計規模を上げない理由について質問がなされ、工兵隊 の説明では、設計規模をカトリーナに対応した規模まで上げるには議会の承認が必要 であるので、現段階では考えていないとのことでした。


 一方、調査団側から尾田団長が「伊勢湾台風とその教訓」をもとに、伊勢湾台風後 に伊勢湾地域のみならず全国の高潮堤防を伊勢湾台風に対応した規模まで整備したこ とについて説明したところ、工兵隊側からは、堤防の延長や費用などについて熱心な 質問がなされました。さらに、伊勢湾台風の被災者でもある調査団員の平野久克元長 島町長が、伊勢湾台風に対応した堤防が整備されたことにより、地元住民は安心して 住むことができるようになったと述べました。しかし、平野団員は、大規模地震が予 想されている伊勢湾地域では、新たに堤防の耐震性の確保が問題であることも紹介 し、今後も施設整備が必要であることを強調していました。


 詳細は、以下の報告書(速報)をご覧下さい。