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2017年03月01日

ニュースレター

JWF News 3月号 シンポジウム 『国連【世界水の日】記念・水未来会議2017』を開催しました

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【JWF News Vol.150】シンポジウム 『国連【世界水の日】記念・水未来会議2017』を開催しました
2017年3月1日発行

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◇目 次◇

・巻頭言 水運ネットワーク-奇跡の日本語-

・日本水フォーラムからの報告
-シンポジウム 『国連【世界水の日】記念・水未来会議2017』を開催しました
-水の安全保障戦略機構第15回基本戦略委員会を開催しました

・活動へのご支援・ご協力のお願いについて

・掲示板コーナー

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・巻頭言 水運ネットワーク-奇跡の日本語- 代表理事 竹村公太郎

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東松島の東名運河
1年でも最も寒さが厳しい2月11日の建国記念日、「未来につなぐ奥松島のたから」再生活用実行委員会が主催するシンポジウムに参加するため、宮城県奥松島に行ってきました。

明治時代、一級河川鳴瀬川の河口と松島湾を結ぶ運河が建設されました。それが「東名(とうな)運河」です。この運河によって、半島を大回りする外洋に出ずに、波静かな松島湾へ直接連絡できるようになりました。鳴瀬川流域の米などの農産物のみならず、北上川流域から産出される物産が頻繁にやり取りされるようになりました。

松島湾に出れば簡単に仙台に着きます。仙台から南には貞山堀(運河)が続いていて、阿武隈川河口まで一気に到達できます。阿武隈川河口からは太平洋を南に向かう水運となります。この東名運河をはじめとする東北の運河は、東北と関東を結ぶ重要な水運インフラでした。

蜘蛛の巣の水運
日本は世界でも珍しいほど密な水運ネットワークを発達させました。これは日本列島の地形に関係しています。
日本列島の中央には、脊梁山脈が南北に走っています。同じ島国の英国と決定的に異なるのがこの地形です。英国連邦の島は、日本列島に比べると平地といっても良いくらです。高い山といっても1300mほどで、それもすべて北のスコットランドにあります。この地形から、英国では水運ネットワークは日本ほど発達せず、陸を疾走する馬車が発達しました。

日本列島の険しい脊梁山脈では英国のようにはいきません。平野もありますが、雨が少しでも降ればぬかるみになってしまう湿地帯です。日本列島に住む人々は、陸をあきらめて列島を囲む海上で物質輸送システムを構築せざるを得なかったのです。

(図-1)は、約200年前の江戸時代後期における日本列島の水運ネットワークです。まるで蜘蛛の巣のように水運ネットワークが張られています。この図で注目したいのは、各地の河川の中まで地名が付いていることです。これは河川における港を表します。列島周辺の海だけではなく、内陸の深くまで港が整備され、水運が発達していたのです。

歌川広重は江戸時代の水運を多く描いています。(図-2)は、河川の上流部まで帆を立てる舟の様子です。(図-3)は、帆が張れないような上流の狭い水路でも、剛力たちが小舟で荷物を運んでいた様子です。
日本列島は海も陸も、水運ネットワークが張り巡らされていたのです。

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図-1 図-2 図-3

 

モノのミキサーの江戸
江戸時代、各地から江戸に米や木材やミカンが運び込まれました。江戸で荷物を下ろした帰りの船には、何かを積まないと船は安定しません。江戸からの帰りの船に積むのは、米や木材ではありません。江戸で積み込むのは、江戸で発行された瓦版や絵草子や浮世絵、さらには全国各地から集められた着物や工芸品、美術品です。江戸は各地から集まった物産がかき回されたミキサーの都市、全国各地の物産の展示場だったのです。
地方から来た船は江戸で荷物を下ろすと、その代金で江戸でしか手に入らないモノを目いっぱい詰め込んで各地に帰っていきます。

3年前、九州の筑後川の最上流の日田市へ行きました。宿泊するホテルの玄関に入ったとき驚きました。ひな祭りの人形や江戸の羽子板、各地の人形がいっぱいに飾られていたのです(図-4)。何かのお祭りかと聞いたところ、いつも飾っているということです。

江戸時代、日田の材木商が材木を江戸に運び、その代金で江戸の人形を買い集めたといいます。山奥の日田の人々は、みんなでこの美しい人形を愛でたのでしょう。この人形を見ながら、江戸の瓦版を読みながら、江戸の話に花が咲いた様子が目に浮かびます。

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図-4

情報の蜘蛛の巣
瓦版は情報です。絵草子も浮世絵も情報です。そして、人形などの工芸品も情報なのです。列島各地、津々浦々に住む人々は、江戸の情報を共有していたのです。赤穂浪士の討ち入りの10日後には、全国の人々は瓦版でその事件を知っていたといわれています。

列島の人々は、モノを通して情報を共有し、瓦版の文字を読み、瓦版の内容を共通の言語で話し合っていたのです。

情報を共有し、同じ文字を読み、同じ言語で話す人々は、同じ共同体に所属します。日本列島の地形は、山脈と、海峡と、河川でバラバラに分断されています。その分断された地形に生きていた日本人は、情報を共有し、同じ文字を読み、同じ言語を話しました。南北約3,000㎞の列島で、分断された地形の中で生きていた人々は共同体を形成していたのです、

この共同体を形成したインフラが、蜘蛛の巣のように張り巡らされていた水運です。水運ネットワークが、日本人の共同体意識、アイデンティティを醸成したのです。

通訳がいない国会
1853年、米国のペリー提督の黒船が来航しました。日本は幕藩封建体制から、一気に国民国家に変身していきました。
1890年(明治23年)、日本帝国議会が開催されました。この国会には、通訳はいませんでした。その後、選挙が行われ南北3,000㎞の各地の代表が集まってきましたが、日本の議会では、常に同じ日本語が話され、コミュニケーションの障壁はなかったのです。

言語の宿命は、大昔からバラバラに異なっていくことです。それは旧約聖書のバベルの塔の物語以来の人類の宿命です。

1979年、ヨーロッパではEU(欧州連合)の前身であるEC(欧州共同体)議会がスタートしました。EUは南北3,500㎞で、3,000㎞の日本列島と大差ありません。そのEU議会では、現在27カ国が参加していて、23言語が公用語となっています。いかに言語がバラバラになっていくかが分かります。
地形で分断された日本列島の人々が、一千年を超えて、一つの言語を共有してきたことは奇跡に近いのです。
宮城県沿岸の水運、そして日本全国の水運システムがそれを支えてきてくれたのです。

東松島市は2011年3月11日の東日本大震災で、死者(東松島市民)1,110人、行方不明者24人(平成28年1月13日現在)という多くの被害を受けてしまいました。その東松島市でのシンポジウムで何を語るのかについて悩みました。

悩んだ末、東松島市沿岸の水運も、日本人のアイデンティティ醸成を支えてきてくれたことに対し、感謝をもって話をさせていただきました。

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・日本水フォーラムからの報告

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シンポジウム 『国連【世界水の日】記念・水未来会議2017』を開催しました

日本水フォーラムは、2月22日(水)、シンポジウム『国連【世界水の日】記念・水未来会議2017』を開催しました。
今回の水未来会議は、SDGsがスタートし2年目を迎えての開催となりました。SDGs達成をはじめとする環境課題の解決には、多様なプレイヤーの貢献と連携が不可欠であると言われています。そこで、「水未来会議2017」では、重要なプレイヤーである企業に焦点を当てました。
本シンポジウムを通して得られた成果は、「水未来会議からのメッセージ2017」として公表予定です。

▼詳細はこちら▼
http://www.waterforum.jp/jp/news/policyrecommendations/2017/0228/?p=4562

(報告者:マネージャー 桑原清子)

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水の安全保障戦略機構第15回基本戦略委員会を開催しました

日本水フォーラムが事務局を務める水の安全保障戦略機構は、2月22日(水)に議員会館にて第15回基本戦略委員会を開催しました。2009年1月30日の設立以来、15回目となる今回の委員会は、初めて議員会館での開催となり、過去最多となる国会議員8名も含めた産官学民の様々なチーム水・日本関係者が委員会に出席しました。

▼詳細はこちら▼
http://www.waterforum.jp/jp/news/policyrecommendations/2017/0228/?p=4617

(報告者:マネージャー 佐藤啓)

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・活動へのご支援・ご協力のお願いについて

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日本水フォーラムは、皆様の会費及び寄付等によって国内外の水問題解決に向けた
活動を行っております。日本水フォーラムの活動を支援していただける
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水問題解決に向けた持続可能な取組みを行うために、皆様の温かいご支援を
なにとぞよろしくお願いいたします。

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日本水フォーラムは、国内外の水問題解決に向けて分野問わず幅広い方々と
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E-mail: news[at]waterforum.jp
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・掲示板コーナー

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出版物ご案内

『日本の防災、世界の災害:日本の経験と知見を世界の防災に生かす』
著者:石渡幹夫、発行:鹿島出版会、定価:1,944円(消費税込)
http://www.waterforum.jp/wp/wp-content/uploads/2017/02/20161005_books.pdf

【第192回河川文化を語る会】講演『恵みの水めぐる川 躍動する命を写す』
主催:公益社団法人 日本河川協会
日時: 2017年3月20日(月)14:30~16:40
場所:ウィルあいち 3F「大会議室」(愛知県)
http://www.japanriver.or.jp/kataru/kataru_index.htm

【第8回世界水フォーラム準備会合(第2回ステークホルダーコンサルテーション会合)】
主催:第8回世界水フォーラム事務局
日時:2017年4月26日(水)~27日(木)
場所:ブラジル(ブラジリア)
http://www.worldwaterforum8.org/

※免責事項:日本水フォーラムは、掲示板の掲載情報に関して責任を負いかねます。
掲載情報へのお問い合わせは各主催者へお願いいたします。

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特定非営利活動法人日本水フォーラム
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E-mail: news[at]waterforum.jp URL: http://www.waterforum.jp
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