水防演習ツアー2017を実施しました

第66回利根川水系連合・総合水防演習が5月20日 (土)、埼玉県加須市新川通地先で開催されました。水防演習は日本の水防技術伝承と防災意識向上を主な目的とし、国土交通省と流域の都道府県並びに開催市によって年に一度、出水期前に全国各地で開催されているものです。水防団、地域住民、関係者を中心に例年多数の方々が演習に参加し、中でも利根川水系連合・総合水防演習は我が国で最大の規模で行われています。66回目となる今回は、昭和22年のカスリーン台風から70年の節目の年となる演習であり、カスリーン台風決壊口地点で開催されました。

日本水フォーラムは、日本の水災害の経験と教訓、地域住民による伝統的な水防活動等を世界に発信するべく、在京大使館・国際機関の方々等を対象とする「水防演習ツアー」を、2006(平成18)年から実施しています(東日本大震災のあった2011年は水防演習自体が開催されずツアー実施は無し)。今年は、マラウイ共和国特命全権大使、及び、4カ国の臨時代理大使をはじめとする、19カ国28名の在京大使館関係者の方々にご参加いただきました。
加えて、今年は新たに、演習視察に来場したJICA研修生(13か国から14名、課題別研修「水災害被害の軽減に向けた対策」コース」)にも、大使館の皆様と同様に演習会場での見学や体験をご一緒頂きました。

また、水防演習会場の出展エリアでは、例年通り日本水フォーラムのブース出展も行い、一般の来場者の方々や演習参加者に世界の水事情について理解いただく機会として、水クイズを実施し、水に関する啓発活動を行いました。

日本水フォーラムは、水防演習における日本の伝統的な技術、官民連携による防災体制構築等の発信を通じて、日本の叡智の世界への発信を行い、世界の水防災レベルの向上に貢献してまいります。

 

「第66回利根川水系連合水防演習」概要

日時 2017年5月20日 (土)
会場 埼玉県加須市新川通地先
主催 国土交通省、埼玉県、千葉県、栃木県、群馬県、茨城県、東京都、神奈川県、加須市
水防演習概要 開会式

演習第1部:水防訓練(水防工法、避難勧告広報訓練、住民の水防活動支援、
住民による自衛水防、 水防支援活動、炊き出し訓練等)

演習第2部:救出・救護訓練

閉会式

参加者数 約15,000人(演習参加者及び一般見学者含む))


「水防演習大使館ツアー2017」概要

第1部の水防訓練は、昭和22年に発生したカスリーン台風による利根川の決壊を経験した加須市のタイムラインに沿って行われました。第2部の救出・救護訓練は、罹災者の救護救出訓練です。普段目にすることのない、さまざまな特命を持つバイクや水陸両用車、ヘリコプターや専用船等が一堂に集まり、偵察・救助・救出をはじめとする迫力ある演習が行われました。

水防演習後は、演習が行われた会場から下流の、利根川と江戸川の分流点のスーパー堤防上に位置する関宿城博物館を見学しました。ボランティア説明員のかたから分かりやすくご説明を頂きながら、河川改修や水運の歴史に関する模型や映像資料等により、水防の歴史を学習することができました。

参加者からは、母国の水関連災害対策にとり有益なツアーであったこと、このような視察にもっと参加してみたい等、高い評価を頂きました。

開催目的 在京大使館・国際機関の関係者の方々に日本の伝統的な水防活動について視察、
体験機会提供
ツアー内容 水防演習視察(水防訓練視察、工法体験 – 土のう作りや縄結び、救出・救護訓練視察)、
関宿城博物館の見学
参加者 マラウイ共和国特命全権大使、ボツワナ共和国・ハイチ共和国・マリ共和国・パナマ共和国の臨時代理大使を含む19カ国28名の大使館関係者
(参加国:ブルガリア、カナダ、キューバ、フィジー、インド、インドネシア、レソト、リベリア、モザンビーク、ミャンマー、ナミビア、ナイジェリア、ルーマニア、タンザニア)
第一部見学の様子   ロープワーク(縄結び)体験の様子
霞ヶ浦導水工事事務所長・田畑様の説明で
水防工法を学ぶ一行
一般財団法人河川情報センター(FRICS)様の
出展ブースで説明を受ける一行
関宿城博物館の概要説明 関宿城博物館前での集合写真


「水防演習展示ブース2017」

日本水フォーラムは、演習会場内の出展エリアにおいて、“水クイズ”と題した展示を行い、訪れた方々に日本と世界の水事情に関する啓発活動を行いました。今年は約170名の来場者に加え、大使館ツアー参加者の方々やJICA研修生の方々などもブースに立ち寄っていただき、計200名を超える盛況となりました。周辺のブース出展者の皆様にも、盛況ぶりにご関心を頂き、クイズに答えていただきました。
クイズ参加者からは「勉強になりました」という声をはじめ、ハンバーガー1つに使われている水の量について「そんなに水を使っているとは思わなかった」といった驚きの声などが聞かれました。
また、今年は水クイズの他に、来訪者居住地マッピングを実施しました。行政区画ではなく河川を中心に描かれている関東・世界地図を用意し、来訪者の住居地にシールを貼っていただくものです。海外では、大使館関係者とJICA研修生の母国、国内では、利根川や荒川近辺が多数でしたが、群馬県八ツ場ダム付近や静岡の伊豆半島、利根川河口付近の千葉県銚子市がマッピングされました。

多数の来場者でにぎわうブース 参加者同士で助け合いながらクイズに解答
大使館関係者のご来場 JICA研修生の方々にも立ち寄っていただきました

(報告者:マネージャー 桑原清子)

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