アジア・太平洋水サミット

2020年12月11日

アジア・太平洋水サミット

第4回APWFウェビナー開催結果概要

アジア・太平洋水フォーラム(APWF)は、第4回アジア・太平洋水サミット(4thAPWS)開催までの間、アジア太平洋地域48か国の政府職員、大使館職員及び日本政府の職員などを対象に、水分野の知見の幅を広げ、深化させることを目的としてAPWFウェビナーを開催しています。
第4回APWFウェビナーは、11月26日(木)に、トーキル・ヨンク・クラウゼン氏を講師として、「水源から海までの統合水資源管理―SDG6(水)とSDG14(海洋)のリンク」と題して開催されました。 

概要
トーキル・ヨンク・クラウゼン氏は、統合水資源管理(IWRM)の基本的な概念と、SDG6.5に明示的に「2030年までに国境を越えた適切な協力を含むすべてのレベルで統合水資源管理を実施する」と記載されていることを説明するとともに、水は、SDGsのターゲットの半数以上に強く関係していることを強調しました。

また、水に関するSDG6のみ考えるのではなく、その水は最終的に海にまで到達することから、海のSDG14と強く関連付けて考える必要があることを強調しました。

水と海のSDGsの達成には、全体的、統合的で包摂的である、水源から海までを考慮したIWRMを、多様な利害関係者が協働して実施していくことが不可欠であるとしました。

① 統合水資源管理(IWRM)の実施がキー
 水の利用方法については、国内のみならず国境を越えて争うようになり、効果的な水ガバナンスが求められるようになりました。そして、統合水資源管理(IWRM)は、経済効率性、社会的平等性、環境の持続性を軸に、水資源の保全と、水利用の適正化のバランスを図る手法として生まれました。
 水は、飲用、食料、自然環境、エネルギー、産業と各分野で利用されており、更に都市問題、水、エネルギー、食糧の安全保障、水質汚染問題などの課題が山積しており、これらのセクターを超えた統合的な手法(クロスセクターの議論、全ての関係者が参加する議論)が必要でした。
 このように水問題は、SDG2(食料)、SDG6(水)、SDG7(エネルギー)にも関係します。そのため、統合水資源管理(IWRM)は、SDG目標6.5「2030年までにすべてのレベルで統合水資源管理を実施する」に明示され、国際的にも認知されています。

② 水源から海までの循環の視点
 2017年に、世界規模でIWRMに関する調査が実施され、アジア・太平洋地域では、80%の国々がIWRMの実施に関する基盤は構築していると報告されています。アジア・太平洋地域では、メコン流域のような越境河川を含むあらゆるレベルにおいて、IWRMを実践しているよい事例が提供できます。しかし、排水の80%が適切な処理をされておらず、プラスチック製品は、ここ50年で20倍に増えました。流域の乱開発、過剰漁業は魚類の生息環境を圧迫し、海のごみの80-90%は陸地由来で、海へのプラスチックごみの流入は4-13百万トン/年であり、肥料や農薬も大きく影響しているなど、陸地からの人為的な影響を受けていない海岸地区はなく、生物多様性の消失、富栄養化により既に死んでしまった海岸地区も増加しています。以上より、土地の利用、陸上の淡水、河口部(デルタ)、海岸域、海域を俯瞰して考える、水源から海までの概念が必要です。そこには、上下流の関係者を結びつける革新的な解決策が求められています。

③ SDG14の解決には、SDG6の実践が重要
 SDG14.1は「ごみやプラスチックなど陸地からの汚染を削減」、SDG14.2は「海や海岸の持続的な管理と保全」であり、陸域の活動の一つであるSDG6の実践は非常に密接に関係しています。 沿岸域のベネフィットも考えれば、河川の流域管理も一層進捗できるでしょう。
土地利用計画、流域管理計画、沿岸・海洋管理計画を、IWRMなどで有機的に結びつけることが重要です。
 しかし、水資源管理と沿岸・海洋管理に関する関係者は、お互いに関係があることは認識しているものの、実際に連携をすることは限定的であり、課題に対処する視点や専門的ノウハウ、政策調整プロセスは、この両分野の間でかなりの相違があります。
 課題解決に向け、両分野の関係者は、縦割り行政の弊害を乗り超え、不確実性にも柔軟に対処できるように、ガバナンスの構造改革をしていく必要があります。

④ 水源から海までの管理のための行動プラットフォーム(source to sea (S2S) Platform)
 ストックホルム国際水研究所は、土地、水、沿岸、海への繋がりを改善するため、「水源から海までの管理のための行動プラットフォーム」(Source-to-Sea (S2S)Platform)を設立し、支援を行っています。 (https://www.siwi.org/what-we-do/source-to-sea/
S2Sプラットフォームは、土地、水、沿岸が一体となって協働して管理が出来るよう、知識や政策、実践を共有、進化させる場として、多様な利害関係者の全てが参加できるように設計しています。政策決定者をプラットフォームのパートナーがサポートすることもできます。
 S2Sプラットフォームは現在27の国際、地域、国機関のパートナーにより構成されています。アジア・太平洋地域は、S2Sに関する多数の経験とノウハウを有しており、世界の他地域のパートナーと協働をすることで多くの便益を生み出すことができるでしょう。 S2Sプラットフォームは、アジア太平洋地域における、水と海の両分野のパートナー機関の参加をお待ちしています。
 なお、本ウェビナー中に、具体的なS2Sの実践例として、ベトナムのヴ・ギア-トゥ・ボン流域の海洋プラスチックごみ対策について説明されました。詳細は、以下の参考URLをご覧ください。
(参考:https://www.siwi.org/publications/foundations-for-source-to-sea-management-case-study-vu-gia-thu-bon-river-basin/


第4回APWFウェビナーの当日の模様と参考資料は、下記APWFホームページよりご覧いただけます。
http://apwf.org/4th-apwf-webinar-integrated-water-resources-management-from-source-to-sea-linking-the-water-sdg-6-and-ocean-sdg-14/

これまでのAPWFウェビナーの情報は、APWFのホームページや、JWFのFacebook やTwitterからご覧いただけます。

(報告者:マネージャー 朝山由美子)

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