アジア・太平洋水サミット

2020年11月18日

アジア・太平洋水サミット

第3回APWFウェビナー開催結果概要

 アジア・太平洋水フォーラム(APWF) は、第4回アジア・太平洋水サミット(4th APWS)開催までの間、アジア太平洋地域48カ国の政府職員、大使館職員及び日本政府の職員などを対象に、水分野の知見の幅を広げ、深化させることを目的としてAPWFウェビナーを開催しています。
 第3回APWFウェビナーは、11月10日(火)に、ユネスコ・アジア太平洋地域科学局(インドネシア・ジャカルタ)シャバス・カーン局長を講師として、「グリーンリカバリーオプションに向けて、水セクターの道筋の再計画」と題して開催されました。

概要
 新型コロナウィルス(COVID-19)に対する絶え間ない対応は、経済成長と環境の持続性をバランスさせることが急務であることを気づかせました。水分野におけるより良い復興、よりグリーンな経済社会の再構築に向けた持続可能な道筋を示すため、カーン氏は、これまで何をして、いまどうなっているのか、持続可能な開発目標(SDG)を達成するために何をしなければならないのか、どこから水・衛生課題(WASH)へ取組むべきかについて、大都市を含めたアジアの水道事業体の水管理の調査結果やデータに基づくアジアの動向を踏まえて説明しました。
 カーン氏は、社会的不平等を低減させる「健全な水循環」に着目し、持続可能で、強靭で、包摂的な社会を構築するために何をどのように実行に移すべきかについて、以下を強調しました。

① 「水・衛生課題(WASH)」とりわけ、衛生環境(H)に一層努力することの必要性
 COVID-19感染を予防する上でとても重要で、基本的なことは、手洗いである。しかしながら、アジア太平洋地域では、SDG6.2.1の衛生環境や水・衛生課題(WASH)全体の目標に対する進捗が遅れている。衛生環境の問題を改善しなければ、多くの健康課題に対処することはできない。

② 「社会的不平等」に取り組むことの必要性
 コロナウィルス感染症は、我々が克服すべき重大な課題のうちの一つであるが、一番の課題は、社会的不平等への対処である。安全・安心で、手ごろな価格での飲料水と衛生サービスへのアクセスと衛生環境の確保は基本的な人権である。アジア太平洋地域の、WASHサービスにアクセスできず取り残されている数十億人の人々のため、WASH課題の根源要因を詳しく分析し、それぞれのターゲットグループにあわせたWASHを確保する政策提言をしていく必要がある。APWSでは、このような取り残された人々の声を取り入れていく必要がある。

③「水循環」の理解及びその健全な管理は、WASH課題に取り組む上でも非常に重要
 WASH課題への取組や、持続可能で、強靭で、包摂的な社会を構築するためには、水循環の理解及びその健全な管理がますます重要となってきている。安全・安心で、手ごろな価格での飲料水と衛生サービスへのアクセスと衛生環境の確保は基本的な人権である。水循環の見えない部分に取り組むためには、基本的な人権の観点から水ガバナンス課題に取り組んでいく必要があり、これは、持続可能な開発目標を達成していくための手段でもある。水管理者にとって大きな課題は、アジア太平洋地域途上国において、参加型水循環管理に取り組むことである。アジア太平洋地域のいくつかの国では、健全な流域管理の観点から、野外排泄に取り組む必要がある。我々は、大きな意味で水循環と統合水資源管理におけるWASH課題への取組の重要性について、再度強調する必要がある。

④ 「健全な水循環の推進」には、あらゆる利害関係者の協働が必要
 外力に対してより強靭にしていくため、水資源の包括的管理や、水分野の運営を評価する必要がある。水循環のすべての要素に、ユニークな特徴がある。水循環をそれぞれの要素に分け、あらゆる利害関係者が協働して問題に立ち向かい、ともに解決策を見出しているか、水ガバナンスを評価する必要がある。COVID-19は、水分野の良いガバナンスの必要性を明らかにした。水分野における既得権や排他的利用の排除に取り組む必要がある。

⑤ 「科学の役割」
 社会がCOVID-19に対処していくための答えを科学に求めることが増えてきているように、科学が果たす役割は大きい。しかしながら、社会経済上の背景の違いにより、科学においても情報格差があることを見てきた。科学は、人類及び地球が持続可能であるための基本的人権であり、科学から得られる利益はすべての人が享受すべきものであり、科学は人為的な格差を乗り越えて垣根を乗り越えていかなければならない。開放的で透明なプロセスにより、オープンサイエンスを適切に推進することが必要である。UNESCOは、アジア太平洋地域を含む世界中の政策立案者と密接に働き、オープンサイエンスを適切に進める取り組みに着手している。科学的な情報格差の是正なくして、社会的不平等の問題に対処することはできない。

⑥ 「よりグリーンな将来に向けたWASHへの投資」
 より良い復興の一環として、感染症への対応を含むWASH分野に3倍の投資が必要である。世界のたった4%の国だけが、衛生環境に関する国の目標に到達できる十分な予算を用意できた。国連は、WASH分野への1ドルの投資は、平均4ドルの利益があると報告をしている。これは、強靭な社会の構築、よりよい復興のために、WASHとりわけ衛生環境改善へ投資することは理に適っていることを示している。水分野への資金は、政府開発援助(ODA)のみでは不十分である。地域のパートナシップを通じて、民間銀行からの投資を引き出すことが不可欠である。また、企業の社会的責任(CSR)を超えて、民間企業からの革新的投資を促す必要がある。また、グリーンな投資を進めていくために、南南協力を拡大することも必要である。

第3回APWFウェビナーの当日の模様と参考資料は、下記APWFホームページよりご覧いただけます。
http://apwf.org/3rd-apwf-webinar-re-charting-water-pathways-for-greener-recovery-options/

これまでのAPWFウェビナーの情報は、APWFのホームページや、JWFのFacebookTwitterからご覧いただけます。

(報告者:マネージャー 朝山由美子)

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