アジア・太平洋水サミット

2019年12月18日

アジア・太平洋水サミット

「第5回水分野のファイナンスに関するラウンドテーブル」の参加

20191126_5thRoundtable on Financing Water

1.はじめに
2019年11月26-27日にフィリピン・マニラにあるアジア開発銀行本部で開催された「水分野のファイナンスに関するラウンドテーブル」に参加しました。
「水分野のファイナンスに関するラウンドテーブル」は、経済開発協力機構(OECD)、オランダ政府、世界水会議(WWC)、世界銀行の共同イニシアティブで始まった世界規模の官民プラットフォームで、持続可能な開発目標を達成し、水の安全保障を高めていくために必要となる水インフラ整備に対する資金確保や投資の機会について、水分野及びファイナンス分野の主要な利害関係者が率直な対話や意見交換などを行います。2017年4月に第1回会合が開催されて以来、これまで4回のラウンドテーブルが開催されています。

2.「第5回水分野のファイナンスに関するラウンドテーブル」の概要
第5回ラウンドテーブルは、ADBがホストをしたということで、初めて地域、とりわけアジア・太平洋地域に焦点を当てた会合となりました。具体的には、アジア・太平洋地域における、水分野のファイナンス課題の解決に向けた資金的手段の把握やその実施方法などの先進事例を共有し、水分野への資金動員の拡大に向けた、公的機関及び民間部門、特に金融機関による取組みを促進することについて意見交換が行われました。本会合はADBやOECDからの招待者のみではありますが、政府機関、金融機関、国際機関、慈善団体、学界、NPO、アジア太平洋地域の民間水道事業者、コンサルタント、ADBの職員等、100名程度の参加がありました。日本からは、筆者のほか、国際協力機構(JICA)及び下水道事業団/日本サニテーションコンソーシアム(JSC)からの代表者が参加しました。

本会合は、2日間で8のセッションが開催されました。会合1日目は、まず、ADBにより、アジア太平洋地域の水開発展望及び主要課題(なぜ同地域における水分野において投資が必要なのか、なぜファイナンス分野における能力開発が必要なのか)が共有されました。続いて、国の保証なしでも、水分野に融資をし、投資価値を高めていった事例として、中国における水道・排水処理事業における民間セクターの取組事例が共有されました。その他、水関連災害リスクを管理し、気候変動に対する強靭性や適応力を高めていくための施策とその実施にかかるファイナンスや流域に焦点をあてたファイナンスの先進事例とその課題が共有されました。会合2日目は、商業金融のリスク管理や、水道事業者の信用力改善に向けた取り組み事例が共有されました。また、アジアにおける水分野への投資を増やしていくための実践的事例として、JICAとアメリカ合衆国国際開発庁(USAID)との協調案件である「フィリピンの上下水道整備基金」が紹介されました。下水道事業団/JSCは、日本の排水管理におけるファイナンスメカニズムを紹介しました。

2日目に開催されたパネルディスカッションでは、アジア・太平洋地域の後発開発途上国の参加者から、官民パートナーシップや水道事業の民営化を推進することにより、公的資金の支出を低減していくことに対する期待の声が上がりましたが、ADBをはじめとする実務者は、それらを遂行していく上でのマイナス面もきちんと勉強し、自国/自治体の実情に合った施策の検討を行うべきとの助言をしました。その他、パネルディスカッションでは、様々なドナー機関が自らの事業概念に基づき途上国等で事象展開しているが、それがドナー機関間の競争や新たな問題の発生の原因と指摘され、水インフラ整備やその投資に向けたドナー間の適切な協調の必要性が強調されました。

3.おわりに
2020年10月19-20日に開催する「第4回アジア太平洋水サミット(4th APWS)」においても、本報告の「水分野へのファイナンスに関するラウンドテーブル」における議論も踏まえつつ、アジア太平洋地域における健全な水循環管理を可能にする水分野における質の高いインフラ整備を普及すべく、民間による資金動員等、従来型の公的資金の動員だけに依存しない新たな資金動員などについて議論します。アジア太平洋地域における水分野のファイナンス課題を克服し、更なる資金動員を促すためには、アジア太平洋地域の各国首脳級に加え、多くの民間企業も4th APWSに参加し、それぞれが抱える課題を解決していくことが重要です。官民が一丸となって水分野の課題に立ちむかう4th APWSに、皆様からの一層のご協力を宜しくお願いいたします。

「第5回水分野のファイナンスに関するラウンドテーブル」における各セッションの背景文書、及び、会合中に使用された発表資料は、次のOECDホームページよりご参照ください。

▼OECDウェブサイト:第5回水分野のファイナンスに関するラウンドテーブル(英語)▼
https://www.oecd.org/water/fifthmeetingoftheroundtableonfinancingwater.htm

 

<参考> 第4回アジア・太平洋水サミット 開催概要
日程: 2020年10月19日(月)-20日(火)
会場: 熊本城ホール(熊本県熊本市中央区桜町)
主催: 熊本市アジア・太平洋水フォーラム(APWF)
対象者:
 ・アジア太平洋地域49カ国の首脳級・閣僚級、ハイレベル、政府関係者等
 ・国際機関、開発金融機関、NGO、企業、学界等
テーマ: 持続可能な発展のための水~実践と継承~ 

(報告者:マネージャー 朝山由美子)

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