ニュースレター

2017年08月16日

ニュースレター 水と災害に関するハイレベルパネル(HELP) JWFファンド 世界水フォーラム

JWF News 8月号 「第3回 国連 水と災害に関する特別会合」が開催されました

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【JWF News Vol. 155】 「第3回 国連 水と災害に関する特別会合」が開催されました
2017年8月16日発行

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◇目 次◇

・巻頭言 関東の湿地の再現

・日本水フォーラムからのお知らせ
- 「第5回京都世界水大賞」募集開始のお知らせ

・日本水フォーラムからの報告
- 「第3回 国連 水と災害に関する特別会合」が開催されました
- JWFファンド2017 経過のご報告

・活動へのご支援・ご協力のお願いについて

・掲示板コーナー

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・巻頭言 関東の湿地の再現
代表理事 竹村公太郎

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利根川の治水
8月3日、栃木県佐野市で第68回利根川治水同盟会が開催されました。利根川治水同盟会の野本副会長をはじめ、福田栃木県知事、岡部佐野市長、石坂真岡市長、和泉足利市長、国土交通省幹部、流域自治体関係者、地元水防団ら約1,000名の参加者によって盛大に開催されました。
この会は、首都圏1都5県を流れる日本一の大河川・利根川水系の治水、利水事業を促進するための期成同盟会です。今年で第68回ですから第2次世界大戦が終わって4年目からスタートしたことになります。その利根川治水同盟会に呼ばれ講演をすることになりました。

首都圏を貫流する利根川は、首都圏の水資源を供給する大切な河川ですが、首都圏を洪水で脅かす河川でもあります。
治水事業は一日では成りません。長い年月をかけて一歩一歩進めていかなければなりません。その治水事業の本質を最も現わしているのが、利根川400年の治水なのです。

家康の江戸入城の関東
1590年、徳川家康は豊臣秀吉の命令で江戸に入りました。武蔵野台地の東の端の江戸城から見る関東は、見渡す限り不毛な湿地帯でした。
6,000年前の縄文前期、地球の温暖化で海面は5m上昇していました。そのため、海水は関東地方の奥まで入り込んでいました。当時、関東の土地は海の下だったのです。その後、地球の寒冷化により海面は低下し、海は後退していきました。家康が江戸に入ったときには、元は海だった関東一帯に利根川、荒川そして多摩川の土砂が流入し堆積していました。

(図-1)は、21世紀現在の関東地方の陰影地形図です。
(図-2)は、海面が5m上昇していた縄文前期の関東の地形です。海が関東の奥まで進入していたことが分かります。
(図-3)は、400年前に家康が江戸入りした時の関東の地形です。
かつて海だった場所に、河川の土砂が流れ込み堆積していました。この一帯は、高潮時には江戸湾の海水が上流まで逆流し、雨が降れば上流から濁流が流れ込んでくる干潟だったのです。

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(図-1) (図-2) (図-3)

家康の治水
1,600年、関ケ原の戦いで勝った家康は天下人になりました。なんと、その家康は京都の近畿に背を向け、箱根を超えて湿地の関東に戻ってしまったのです。家康には関東でやるべきことがあったのです。

それはあの広大で不毛な干潟を乾田化することでした。

家康は伊奈忠次にその工事を命じました。伊奈忠次は(図-3)の関宿と鬼怒川の間にある高台の開削を行い、利根川を銚子へ導くことにしました。利根川東遷と呼ばれている工事です。その工事は一代では終わらず、息子の伊奈忠治に引き継がれました。利根川が銚子に向かって流れ出した後も、河道を広げて洪水を銚子に導く工事は江戸時代を通じて継続されました。
利根川と渡良瀬川の濁流から解放された大湿地帯は、次第に乾田化し、関東平野は一大穀倉地帯に変身していったのです。

250年後、明治の近代化が開始されました。江戸は東京となり、全国各地から東京に向かって鉄道が敷設され、東京は一気に膨張しました。関東平野は首都圏という巨大な都市の受け皿となり、利根川の河川改修はさらに重要な課題となったのです。利根川河川改修事業は明治、大正、昭和そして平成と21世紀の現在まで継続して行われているのです。
これが、利根川400年の治水の歴史です。

目で見たい湿地
この利根川400年の治水の原点は、家康が江戸入りした時に目撃した「大湿地帯」です。家康はこの湿地帯の価値を見い出したのです。この湿地帯は関東の山々から運ばれてきた肥料の宝庫でした。この湿地帯を乾田化すれば、肥沃な穀倉地帯になる、と確信したのです。
河川行政に携わった私の最初の現場は、利根川水系の鬼怒川のダムでした。家康の利根川東遷は先輩から聞いて知っていました。長年、関東の変遷を頭の中で想像してきました。その想像を(図-3)などで表現もしました。

しかし、それはいつもモヤモヤとした霧に包まれていました。それは「家康が見た関東の大湿地帯をもう見ることはできない」ことでした。家康が目撃した大湿地帯を見たい。自分の目で見れば、家康と江戸幕府の利根川東遷への執念を肌で感じとれる。しかし、それはもうかなわない。家康の利根川東遷の物語は、頭の中だけの物語、言葉だけの物語、に終わってしまう。
これが私を包んでいた霧でした。ところが、その霧が晴れたのです。

江戸城から見た湿地
7月初旬、第68回利根川治水同盟会の講演の準備をしていました。深夜パソコン作業をし、一段落したので寝ようとパソコンを閉じる準備をしていました。その時、突然、パソコンの画面に江戸城から見る大湿地が浮かんだのです。それが(写真-1)です。
いや、江戸城ではありません。イギリス海峡に面するフランスのサン・マロ湾の干潟に浮かぶ修道院モン・サン=ミシェルでした。

インターネットで干潟を検索していた時に残っていた画像だったのでしょう。それまで気が付かなかったのですが、パソコンを閉じる寸前に気が付いたのです。サン・マロ湾はランス川の河口に広がっています。その湾の干潟の上の小島に作られたのが修道院モン・サン=ミシェルです。
この写真は、関東の干潟湿地のイメージです。特に、小島の上に立つ修道院は、武蔵野台地の先端に立つ江戸城そのものです。
家康は江戸城からこの光景を見ていたのです。

利根川の濁流を銚子へ向ければ、目の前に広がる干潟の干拓は容易に行える。土壌の栄養分豊かな広大な耕地が得られる。
これが家康の思いだったのです。
400年後の21世紀、関東は家康の思いをはるかに超えて、日本最大の首都圏域となっていたのです。

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(写真-1)
(By Uwe Küchler (Own work) [GFDL, CC-BY-SA-3.0 or CC BY-SA 2.5-2.0-1.0], via Wikimedia Commons

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・日本水フォーラムからのお知らせ

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「第5回京都世界水大賞」募集開始のお知らせ

日本水フォーラムは、世界水会議と共催で、「第5回京都世界水大賞」を実施致します。 「京都世界水大賞」は、世界で唯一(注)、途上国の水問題に向けて 優れた活動を続ける草の根団体を顕彰する、国際的な賞です。その受賞団体の募集を、8月1日に開始しました。
大賞受賞団体の表彰式は、2018年3月にブラジルで開催される第8回世界水フォーラムで開催する予定です。(注:日本水フォーラム調べ)

▼賞の概要、団体募集に関する詳細はこちら▼
http://www.waterforum.jp/jp/news/grassroots/2017/0801/?p=6759 (日本語)
http://www.waterforum.jp/en/news_en/2017/0801/?p=6142 (募集要項:英語のみ)

▼ご協賛を募集中▼
http://www.waterforum.jp/jp/whatwedo/2017/0703/?p=4971
(報告者:マネージャー 桑原 清子)

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・日本水フォーラムからの報告

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「第3回 国連 水と災害に関する特別会合」が開催されました

7月20日(木)、ニューヨークの国連本部にて、第3回 国連 水と災害に関する特別会合が開催され、その開会式において、皇太子殿下のビデオによる基調講演が行われました。
主催は「防災と水に関する国連事務総長特使」及び「水と災害ハイレベル・パネル」で、水と災害に関する国際的な関心を高め、過去の水関連災害の経験や教訓を共有する目的で開催されたものです。日本水フォーラムは、同会合の開催を支援しました。

▼詳しくはこちら▼
http://www.waterforum.jp/jp/news/2017/0814/?p=6781
(報告者:マネージャー 野口 淳)

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JWFファンド2017 経過のご報告

JWFファンドは日本水フォーラムの会費や、一般の方から寄せられた寄付により運営されています。
本年は二ヶ月の募集期間に、水と衛生や水災害関連の活動について、31カ国から211件の応募が寄せられました。現在、9月中旬の採用案件決定に向けた審査を実施しております。
皆様のご理解とご協力、誠にありがとうございます。情報は随時ウェブページで公開いたしますので、今後とも現場の課題と活動にご関心をお寄せいただきますよう、どうぞよろしくお願いいたします。

▼JWFファンドについてはこちら▼
http://www.waterforum.jp/jp/what_we_do/grass_roots_projects/jwf
(報告者:マネージャー 郡司 晃江)

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・活動へのご支援・ご協力のお願いについて

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日本水フォーラムは、皆様の会費及び寄付等によって国内外の水問題解決に向けた活動を行っております。
日本水フォーラムの活動を支援していただける会員を募集しております。
水問題解決に向けた持続可能な取組みを行うために、皆様の温かいご支援をなにとぞよろしくお願いいたします。

▼会員募集の詳細はこちら▼
http://www.waterforum.jp/jp/get_involved/pages/become_a_member.php

日本水フォーラムは、国内外の水問題解決に向けて分野問わず幅広い方々と協働で活動を展開しています。
日本水フォーラムの活動にご協力いただける方、ご興味のある方は以下よりお問い合わせください。

▼問い合わせ先はこちら▼
TEL: 03-5645-8040
E-mail: news[at]waterforum.jp
※[at]をアットマークに変えて送信してください。

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・掲示板コーナー

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【第193回河川文化を語る会】船上講演会『川から見る東京』

主催:公益社団法人 日本河川協会
日時:2017年9月5日(火)10:00~16:00(2回運航)
場所:運航ルート「神田川 → 日本橋川 → 隅田川 → 小名木川(扇橋閘門)→ 神田川」
http://www.japanriver.or.jp/kataru/kataru_index.htm

※免責事項:日本水フォーラムは、掲示板の掲載情報に関して責任を負いかねます。
掲載情報へのお問い合わせは各主催者へお願いいたします。

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▼過去のJWF Newsはこちら▼
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※掲示板への掲載希望、JWF News配信停止・変更、その他ご意見・ご要望は、
下記アドレスまで

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JWF News Vol. 155 平成29年8月16日発行
特定非営利活動法人日本水フォーラム
〒103-0015 東京都中央区日本橋箱崎町5-4 アライズ第2ビル6階
TEL: 03-5645-8040 FAX: 03-5645-8041
E-mail: news[at]waterforum.jp URL: http://www.waterforum.jp
※[at]をアットマークに変えて送信してください。

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